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指紋もとられる!人物適正審査が結構面倒だった(カリフォルニア州の場合)

カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ

前回は司法試験合格者名簿の見方を説明しましたが、今回は試験合格後にやる弁護士登録手続きがけっこう大変だった件について。

司法試験合格後にやる登録手続きが意外と大変

アメリカの 司法試験(Bar Exam)に合格したら、弁護士登録の手続きを進めなければなりません。これも州ごとでいろいろ違います。

カリフォルニア州の弁護士として登録するためには、MPRE(法曹倫理試験)やMoral Character Determination(人物適正審査)をパスする必要があります。それらの要件を満たしたかどうかは、受験者用のポータルサイト内で常に確認できます。今回は Moral Character Determination(人物適正審査) のところを詳しくお話します。

なかなか面倒な人物適正審査:Moral Character Determination

カリフォルニア弁護士試験体験ブログ

Moral Character Determinationは時間のかかる手続きで、運転経歴書(英文版の無事故無違反証明書)や指紋証明(FD-258:FBI指紋カード)を取得したり、カリフォルニア州の事務局からの照会のために、現職・前職(前々職があれば前々職も)の上司、知人5名(うち一人は米国弁護士である必要あり)を指定する必要があります。最低180日かかるとされていますが、時期によってはもっと早く完了します。私は100日もかからずOKがでました。

照会対応を依頼する方々には事前に事情を伝え、想定される質問票と回答案を添えてお願いしておきました。

1.Aをよく知っているか? ⇒ Y
2.Aと親戚関係にあるか? ⇒ N
3.Aは何かやらかして解雇されたか? ⇒ N
4.Aは辞職するように言われたことがあるか? ⇒ N
5.Aは逮捕されたり法律違反をしたことがあるか? ⇒ N
6.Aは詐欺的行為に関わったことがあるか? ⇒ N
7.Aは訴訟対象となったことがあるか? ⇒ N
8.Aが薬物依存症で法律業務に支障がありそうか? ⇒ N
9.Aは信義誠実の点で好ましい性格を有しているか? ⇒ Y
10.Aが法律業務を行うことを確かに推薦できるか? ⇒ Y
11.Aと知り合って何年か? ⇒ 〇 years.
(12.以下は回答不要)

実際には以下のようなメールで照会が入ります。

ニューヨーク州では内容は少し異なりますが同様の手続きがあり、Good Moral Characterを証明する書類を2名のかたに用意してもらったり、Character and Fitnessについてのインタビューがあったりと、やはりなかなか手間な手続きです。

◆ 運転経歴書って何?

少なくとも過去5年間の運転経歴書=無事故無違反証明を示す必要があります。これまで取得したことのない証明書でしたが、警察署で申込用紙を入手して、郵便局で依頼するだけの簡単な手続きでした。用紙の通信欄に「英文希望」と記載することで、英文版が発行されます。内容は「いつからいつまでの間、交通違反・事故の記録はありません」というシンプルなものです。10日程度で発行してもらえました。

▶自動車安全運転センターの公式サイトはこちら

これ、事故ってたら絶対ダメなのか?というと、そう厳しいわけではないようです。違反の内容次第ですが、ちょっとぶつけたとか、反則切符切られたとか言う程度のものなら、特に問題なく通るものと思われます。

◆ 指紋証明(Fingerprint Card:FD-258)は費用も高い

新宿の法科学鑑定研究所の外観。

指紋証明は新宿にある「法科学鑑定研究所」で取得しました。こちらは「カリフォルニア司法試験に独学で黙々と挑戦する会」で丁寧に紹介されていました。(参考:[2020最新]指紋証明 FD-258対応マニュアルはこちら

管理人の方が相当に苦労された末に辿り着いた大変貴重な情報です。

指紋証明はフォーマットも決まっていて、FD-258というFBIなどが用いる形式が指定されています。料金は38,000円とかなり高額ですが、他に当てもないので仕方ありません。

インターネットで予約を入れて、当日、西新宿の法科学鑑定研究所のオフィスに行くと、見たこともない指紋採取機器が置いてありました。指を丁寧に消毒・洗浄した後、5本の指全部だったり、1本ずつだったり、様々なバリエーションで丁寧に指の指紋を採取し、その鮮明度を機械が「Excellent」とか「Poor」とかで判定します。ペタッと押すのではなく、指をぐるりと回転させて、指紋全てを採取するように行いました。一通り採取し終えた後、さらに人の目で最終チェックし、不鮮明な指紋は再度採取します。なかなか面白い経験でした。

数日後、各指の指紋が印刷されたカードが2通届きました。2通ともカリフォルニア州法曹会へ郵送します。

▶ 法科学鑑定研究所 の公式サイトはこちら

※ 法科学鑑定研究所は今年の9月に小金井に移転したそうです。

参考までに上記の法科学鑑定研究所プロデュースの商品で「指紋カード・セルフキット」なるものもAmazonで販売されています。一応FD-258仕様。私は使ってないので分かりませんが、これで認めてもらえると負担が減りますね。

受験者用ポータルサイト:Applicant Portal

それぞれの要件をパスするとApplicant Portalでの「Applicant Status」が「Requirement satisfied」になります。

ここで「COMPLIANCE WITH COURT OBLIGATIONS」の要件だけがずっと「Not satisfied」のままなのが気になり、事務局へ問い合わせました。この要件は人物適正審査を含む他の要件全てをパスすると、「Requirement satisfied」になる、私のように受験生がSSN(Social Security Number)をもたない場合は、全ての要件をパスした後に裁判所への照会が行われる、とのことでした。実際に、他の要件全てをクリアした数日後にステータスが変更されました。

最後に「QUALIFIED TO BE ADMITTED TO PRACTICE LAW」が「Pending」⇒「On motion」の順に変わり、数日後にOffice of Admissionsから宣誓に必要な書類等が届きます。あとは大使館の予約をとって宣誓すれば、晴れてカリフォルニア州弁護士です。なお、コロナ禍においてはオンラインでの宣誓も認められているようですが、私はせっかくの機会ですので大使館へ出向いて宣誓することにしました。次回は宣誓式のお話をする予定です。


【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは毎週火曜日19時の配信となります。随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。


text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。


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