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人気ドラマ『最高の離婚』はセリフが切ない。脚本でみる立春に読みたい光生からのお手紙

この本は残しておこう!なお気に入りの本は、いつ、何度読んでもやっぱりいい!って思えるので、少しずつ勝手に感想をシェアしていくコーナーへ今夜もお立ちリ寄りいただきありがとうございます。

美味しいカフェラテと一緒に読みたくなる一冊、今回ご紹介するのは2013年に放送されていた人気ドラマ『最高の離婚』の脚本がそのまま本になっているよ!の、こちらです!


最高の離婚1 (河出文庫)


最高の離婚2 (河出文庫)

文庫で2冊出ています。坂元先生の脚本のドラマはどれもすごく好きだけど、そのなかでも特にお気に入りな作品だったので、この脚本がそのまま本で登場したときはわくわくしながら即購入。

夫婦間の価値観の違いっておもしろい

当時、私はすでに結婚をしていたのですが、夫との価値観の違いに悩んでいた時期でもありました。価値観の違いって、本当に難しいんです。どっちが正しいとか、簡単に結論が出せる問題じゃないから。

はじまりはきのこの山とたけのこの里でした。コンビニに二人で行ったんです。かみさん、たけのこの里を籠に入れました。え⁈と思いました。こいつ、きのこの山じゃないんだ。絶対気が合わない。
引用:最高の離婚1 (河出文庫)第一話より

これ、本のまさに冒頭部分。物語は、歯医者さんで旦那さんの光生くんがグチっているシーンからはじまります。きのこの山かたけのこの里か。夫婦の価値観の違いって、ホントにコレ。

もちろん、ドンズバで価値観ぴったりで幸せに暮らしているご夫婦もいらっしゃるでしょうが、少なくともわが家はいつもこういう些細なことでのトラブルに見舞われています。ミスドにいっても、ポンデリングが食べたい私とクリーム系が食べたい夫。お酒なんでも大好きな私と、酔うと頭が痛くなるだけの夫。お昼に麺類を食べたら夜は麺類いやだーって思う私と、好きなものなら3日連続でも食べ続ける夫。毎日、気が合いません(笑)

ドラマのなかの物語と似たような争いを毎日繰り広げて、疲れて、「なんでこんなに気が合わない人と結婚したんだっけ?」って毎日悩む。ただコレって慣れてくるんですよね。お互いに。自分と真逆であることに慣れてくるんです。

ミスドくらいならお互い食べたいのを両方買っちゃえばいいし、お酒飲めなくっても酒蔵巡りやワイナリーツアーに夫はついてくるし、3日連続で好きなものを食べられる夫のおかげでお弁当づくりはだいぶ楽しているし。

そんなバトっては、笑いあってな喜怒哀楽な毎日のセリフが、本のなかにギュギュっと詰まっているのです。だからドラマを好きだった人も、また本を読みながらいろんなシーンを思い出して楽しめるし、ドラマ見ていない人も、きっと思い当たる似たようなセリフや場面に出会って、胸を打たれるかもしれないと思います。きのこの山とたけのこの里戦争に似た食べ物をめぐる戦いが絶えないご夫婦にとっては笑えるシーンがいっぱいありますよ。

ちなみにこの物語、第一話でいきなり離婚します。原因は旦那さんの買ってきた萩の月を奥さんが食べちゃったから。ね、食べ物のケンカをあまくみてはいかんのです!笑

別れた妻に宛てたラストシーンのお手紙

この物語が素敵だな!って思える一番好きな場面が、一番最後の光生くんから離婚してしまった元妻・結夏さんにあてたお手紙です。その書き出しはこんな言葉からはじまります。

暦の上に春は立ちながら、厳しい寒さが続いておりますが、いかがお過ごしですか?風邪など引いていませんか。しもやけなどしていませんか
引用:最高の離婚2 (河出文庫)最高の離婚スペシャルより

几帳面な光生くんらしいお手紙。一緒に暮らしていたころ、結夏さんが隣にいたときには傷つけあうようなことばかりが続いていましたが、そんな生活のなかにいっぱい詰まっていた幸せな時間をひとりで静かに振り返っているシーンが何度読んでもウルウルするのです。

この2月の頭の立春のころになると、このお手紙が読みたくなる…!

あの目黒川沿いのマンションで2匹の猫と変わらぬ生活を続ける光生くんの横にもう結夏さんの姿はありません。結夏さんは結夏さんで幸せに暮らしていてくれたら、と、読者の私も勝手に毎回幸せを願いつつも「春の訪れを待っています」という言葉で締めくくられるこのお手紙が、結夏さんの帰りをただ待っているように思えて、切なくなるのです。

当たり前すぎる毎日のなかに潜む幸せ

このお話から学んだことは結構多くって、結局、結婚なんてただの契約なんだから、いつまでも相手に甘えて依存してばかりいたら、その関係性は破綻するということ。違う環境で生まれ育った赤の他人同士、価値観なんて違っていて当然だし、そこを思いやりながらでしかうまくいかないのだから、離婚という選択肢は届を出すかどうかだけの差でしかないんだなと、いろいろ考えさせられました。

問題のない夫婦なんていないと思います。うちも、結婚から8年経った今でも、コンビニへいったらアイスどれにするかで結構真剣な話し合いがはじまります。未だに価値観がずれずれだから、どれを買うか毎回もめます。そして私は、全然興味がない『進撃の巨人』にやたら詳しくなりました。夫は飲みもしないワインの銘柄と値段をきっちり記憶しています。これが幸せの正体なのかなと少し理解できるようになりました。

結婚してから、ひとりでコンビニへいくことすら行かなくなりました。昼でも夜でも、夫はいつも買い物に付き合ってくれるからです。一緒に起きて、一緒に寝る。当たり前の毎日が、たぶんとても大切な時間なのです。そんな当たり前の幸せをじーんと感じさせてくれる一冊ですよ。

【INFO】

今回ご紹介した本は、人気脚本家坂本裕二先生の「最高の離婚」のシナリオです。文庫になっているので、とってもおすすめ。

ラブコメだけど、リアルなセリフが突き刺さります。


最高の離婚 DVD-BOX

ドラマをご覧になっていない方は、ぜひDVDでも!