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日本で取得できる!米国弁護士試験の採点方法を徹底解説

カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。前回はオンライン受験の様子や弁護士の登録手続きに必要な作業、年会費などをお話しましたが、今回は採点方法や戦略についてご紹介します。

米国司法試験の戦略をたてよう!記述式とマークシート(択一式)

米国司法試験の勉強についてご紹介します。州によって合格基準点が異なるため、試験戦略(記述式と択一式(MBE)の勉強のウエイト等)も異なりますが、ここでは私が受験したカリフォルニア州(California Bar Examination、Cal Bar)を念頭にご説明します。

米国弁護士試験のホントのトコロ

カリフォルニア州の合格基準点は1390点で、記述式とMBEの配点が50:50です。さらに記述式はEssay5問とPerformance Test1問とで構成され、Performance Testの配点はEssay2問分となっています。記述式とMBEの平均点で合否が判断されるので、「記述式1400点&MBE1380点」とか「記述式1200点&MBE1580点」とかで合格点に達します。カリフォルニア州は比較的合格基準点が高いため、MBEだけに注力するという戦略は立てにくいですが、MBEである程度稼ぐことができれば、記述式はそこそこでしのげれば合格点に乗ることになります。

記述式とMBEはそれぞれ素点(Raw Score)を複雑な換算式によって調整した点数(Scaled Score)になります。不合格者には記述式のRaw ScoreとScaled Score、MBEのScaled ScoreとPercentileが通知されますが、MBEのRaw Scoreは知らされません。ちなみに合格者には点数は一切開示されません。

日本人にとっては高難易度?!記述式試験について

記述式試験ではRaw Scoreで40点~100点が付されることになっており、主要論点が抜け漏れなく論じられている答案で65点、加点項目の記載や、論点抜けなどによって5点刻みで点数がつきます。結構失敗した答案で50点のイメージです。Raw Scoreの合計(Essay5問500点とPerformance Test1問200点の700点満点中)が420点、すなわち60点平均でScaled Scoreが1350点~1400点程度がつき、Raw Scoreが5点変動するごとに、Scaled Scoreが20点~25点変動する、というくらいに考えて多くの場合で差し支えないかと存じます。傾きと切片は毎回異なりますが、換算式が一次関数であることは決まっている模様です(不合格者には換算式も通知されます)。例えば、Raw Scoreが400点だと1250点~1320点くらいのScaled Scoreが想定されます。

カリフォルニア州のEssayでは1時間1問の割り当てで出題され、日本人受験生の間では1問当たり1000 Wordsをめざすことが推奨されています。公表される優秀答案は1500~2000 Wordsですので、分量的には見劣りしますが仕方ありません。実際に主要論点を抜け漏れなく論じようとすると1000 Wordsくらいは必要となる設問が多いと思いますし、英語力に劣る日本人にとっては適切な目標値であるといえます。以前は3時間が与えられて、その中で3問(もしくは3時間半でEssay2問+PT1問)を回答する形式で、時間配分が受験生に委ねられていましたが、リモート受験では1時間で1問(PTは1問90分)で切られるように変更になっています。簡単な設問で余った時間を、他の設問に割り当てたいところでしたので、常に時間の足りない日本人受験生には若干不利な変更かと思います。

ちなみに不合格時のEssayでのWord数と点数の関係をいくつか紹介します。

  • 70点 ⇒ 563 Words
  • 60点 ⇒ 397 Words
  • 55点 ⇒ 647 Words
  • 50点 ⇒ 611 Words
  • 45点 ⇒ 571 Words

1000 Wordに遠く及ばない答案を連発して恥ずかしい限りですが、600 Words以下でも60点以上がついている点は興味深いです。1問の採点にあまり時間を割けない採点官の目に留まりやすいように、改行・文字サイズ・下線・太字などを工夫すると良いかと存じます。

全米共通MBEの採点方法!合格スコアの基準は?

カリフォルニア州とニューヨーク州等の他州とではMBEスコアの桁が異なりますので10倍して読んでください。

◆MBE Conversion Tableの場合

MBEのスコア変換式は現在未公開ですが、以前の換算表を掲載します。採点方式に劇的な変更が加えられたわけではないでしょうから参考になるかと存じます。

出典:https://myusf.usfca.edu/sites/default/files/Step2_How_to_Read_Your_Scoresheet_Final.pdf

これは190問中の正答数による換算表なのでご注意ください。例えば、65%正解したとするとRaw Scoreは123 or 124となり、Scaled Scoreは1400点前後、70%(133問正解)だと1481点、80%の正解(152問正解)であれば1645点です。

なお、実際の試験では200問中175問がスコアに反映され、残りの25問は将来の試験問題研究のためのダミーとされていますが、受験生側はどの問題がダミーか判別できないので、意識する実益はなく、正答率を向上させることを考えるのみです。

「200問中の正答数×10倍+加点」となっており、加点具合はRaw Scoreが上がるほど小さくなり、90%以上の正解となると加点なしです(むしろ若干減点)。

◆ SmartBarPrepの場合

一方、SmartBarPrepのサイトではもう少しアバウトに下記の表現となっています。

 『200問中の正答数+10~+15点』(ただし、カリフォルニア州の場合は10倍)

 すなわち、65%正解だと130問の正答数になるので、1400点~1450点、70%正解だと1500点~1550点の間になるとのガイドです。ただし、これは低中得点域では尤もらしいですが、高得点域では高く算出されすぎて不正確だと思います。

◆JD Advisiongの場合

 またJD Advisingは下記の換算表を提示しています。これも190問中の正答数がRaw Scoreなのでご注意ください。この表に従うと、65%の正答率で1405点、70%(133問)の正答数で1490点程度のScaled Scoreとなります。

出典:JD Advising より

◆その他の情報ソース

その他、Emanuelの「Strategies & Tactics for the MBE: Multistate Bar Exam (7th Edition)」にも関連記載があり、65%の正答率で1400点、70%の正答率で1480点となっています。高得点域になるほど、加点が少なくなる点も指摘されています。

また、点数予測をしてくれるWebサイトでは、同じ正答率でも7月の方が2月よりも高く換算されるように設定しているものがありますが、これは率直に誤りだと思います。当該Webサイトでは2月の平均点が低いのは点数の換算が厳しく設定されているとしているようですが、実際には受験生の質の問題でしょう(単純に正答率が低いだけ)。

アメリカの司法試験で効率よく合格率をUPさせるには?

これらを踏まえて、例えば記述式は平均60点を狙い、MBEで7割の正答率を目指す、という戦略で試験に臨むことが考えられます。また、MBEが8割以上正解できるのであれば、記述式の平均点が55点程度でも合格する可能性があります。55点というのは主要論点を多少落としてもOKなので、ハードルは低めです。

おススメの戦略は、MBEは7割以上の正答率を確保、Essay・Performance Testで平均60点を目指す、です。MBEスコアが1480点~、記述式が1350点~、合計2830点~で余裕をもって合格できます。MBEは練習問題に多く当たる一方、Essayについては「Professional Responsibility」に特に注力して70点が取れるレベルにしておくのがよいでしょう。Professional Responsibilityは近年毎回出題されるようになっており、投資効率が抜群です。1問でも70点が取れれば、他の記述式問題の複数で論点を落としても十分に合格ラインに乗ります。

以前のカリフォルニア州の合格基準点は1440点であり、さらに以前は3日間の試験でMBEの配点比率が低かったため、試験戦術のバリエーションは少なかったかと思いますが、合格基準点が1390点に引き下げられたことで(それでも他州に比べると難関であることに変わりないですが)、取り組みやすくなったことは間違いありません。

次回は米国司法試験の勉強をするときのテキストについて詳しくご紹介しようと思います!


【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは毎週火曜日19時の配信となります。随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。


text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。