1795年に創業。実に200年を超える歴史と伝統を誇るメキシコの老舗テキーラメーカー<José Cuervo(ホセ・クエルボ)>のセミナーにいってきました。テキーラって、私の中ではダーツで負けたときにショットで飲まなければならないお酒というイメージしかなかったのですが、今回は、「その間違ったイメージを変えてほしい!」という思いからクエルボのブランドアンバサダーであるステリオス・パパドプロス氏が来日。
『ホセ・クエルボ ドンズ・オブ・テキーラ』の世界大会である初回優勝者の江刺幸治氏とともに、テキーラの製法やクエルボの歴史、テキーラを味わう時のポイントやカクテルの楽しみ方を教えてもらいました。
ステリオス・パパドプロス氏が語る!老舗クエルボのテキーラ
高級ラインからリーズナブルなものまで!クエルボのテキーラは幅広い。
「ジャーナリストの皆さんにテキーラの誤解を解いてもらい、もっと深く知ってもらいたい」と、熱く語りはじめたステリオス・パパドプロスさん。バーやレストランで、ワインやウイスキーの魅力を教えてくれる人は多いけれど、あえて“テキーラ”について熱く語る人は今まで出会ったことすらなかったので、出だしからとても引きつけられました。
ワインはぶどう、ウイスキーは麦から作られているものの、テキーラって何からできているんだっけ?と、本当に申し訳ないくらい、私のテキーラレベルは初心者なのですが、皆さんはテキーラの原料ってご存知ですか?
■テキーラの原料はサボテンじゃないよ!
私のインスタにもさっそくお友達のくまのぬいぐるみの方から「テキーラって、サボテンからつくられるんでしたっけ?記憶違い?」とコメントが付くほど、日本人にはなかなかなじみがないテキーラの原料。
その答えは、アガヴェという多肉植物(竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種らしい)。アガヴェを蒸留し、35度~55度まで度数をあげて作られたお酒がテキーラ。クエルボの持っているメキシコのアガヴェの畑の写真が、映像のトップ画面で流れていたんですけれども、すごくキレイな光景ですよね。メキシコ、いってみたくなりました!
収穫された球茎は、ひとつ約30kgから大きなものでは100kg近いものもあり、見た目がパイナップルに似ていることからスペイン語で「ピニャ」と呼ばれます。
引用:テキーラとは?|アサヒビール
アガヴェの収穫には平均して7年の歳月が必要なんですって。メキシコを燦燦と照らす太陽の光をたっぷり吸収することでアガヴェの糖度が上がるんだそう。テキーラを1ℓつくるのに7キロのピニャが必要で、クエルボでは毎日4000人の人がアガヴェの畑で働いているという説明を伺いました。
そもそも私はこの日初めて「アガヴェ」を見たわけですが、この葉っぱを切り落とす作業ひとつとっても青臭さを残さないようにキレイにカットするなど熟練された技術が必要なんだそう。なるほど。完成までに気が遠くなるほどの手間や時間がかかっているんですね。
■テキーラを作るうえで一番大切なものは「アガヴェ」
私はてっきりウイスキーみたいに蒸溜や熟成の環境や時間などが味や香りに大きく影響するものかと思っていたわけですが、パパドプロスさんがおっしゃるには、一番大事なのはこの「アガヴェ」そのものなんだそう。
「大切なのは、物語を語るということ。どういう土地で育ったアガヴェなのか、どういう人が収穫したアガヴェなのか、その物語を知ってもらいたい」
生産量や販売量ともに世界でもトップクラスの数字を誇るクエルボのテキーラですが、広大な土地で大切に育てられているアガヴェ畑の写真は本当に圧巻だし、土の栄養や火山の影響、また温度や湿度などの環境が違えば、アガヴェに差が出るという話は、ワインのぶとう畑の生産者が語るテロワールの重要性とも重なるところが多く、本当に一気飲みするというよりも、じっくり味わってほしいという気持ちを強く感じ取ることができました。一気飲みしている場合じゃないんだよ、ホントに(笑)
テキーラをじっくり味わいたいときの飲み方は?
テーブルには、メキシコ料理のおつまみとともに1800のシルバー、レポサド、エクストラアネホが用意されていました。さっそく飲み比べ。
うっかりワインみたいにグルグル回したくなってしまいますが、テキーラはアルコールが飛んでしまうと香りが変わってしまうので、回すのはNG。パパドプロスさんのおすすめは、
1.グラスのふちの手前に鼻をよせて
2.グラスの中央でも香りを嗅ぎ
3.グラスの一番奥側からの香りを楽しむ
の3ステップ。
確かにやってみると、同じテキーラなのに、鼻をよせる方向ひとつでぜんぜん香りが違ってびっくり。そのあと、テキーラを少量口へ含んで、数秒間、留めたあと飲み込み、2口目の味わいやフレーバーがテキーラ本来の評価ポイントなのだそう。
今まで嫌々ショットで飲んでいたテキーラはなんだったんだ!というくらいの、味わいの奥深さにめちゃめちゃ感動しました。ウイスキーの香りの違いと同じように、樽や熟成期間によってもテキーラの色や香り、味が全然違うんですね。オリジナルのテイスティングリングの上にグラスを乗せて、自分のなかで味の方向性などを確認。こんな高級なラインのテキーラをこうしてゆっくり飲む機会が今までの人生でなかったこと自体が、本当にもったいないというか、重要な機会損失にあったような気分になってきます。
フルーティーさやスモーキーさの違いを、「わぁ、すごいね」と言いながら、静かに楽しむパパドプロスさんの説明は、私のお酒の価値観ごとグンと広げてくれました。びっくり!人生を楽しむにはいいお酒とゆかいな仲間が必要だと思うんですが、そもそもの知識をくれる人やバーとの出会いと時間は、あの伝説のバーマン、チャールズ・シューマン氏の話ともつながるなーと、感慨深かったです。
江刺幸治氏のスペシャルなカクテルも!上品なテキーラの味に衝撃
イベントの締めくくりに、ホセ・クエルボ社主催 “真のテキーラ・チャンピオン” 「ドン」を決める世界大会『ホセ・クエルボ ドンズ・オブ・テキーラ』第一回目に優勝された凄腕バーテンダー・江刺幸治氏によるテキーラのカクテルもふるまわれました。
なかでも、このメキシコっぽい素敵な器に盛られた「トミーズマルガリータ」の味にびっくり。江刺さんは「バツゲームで飲まされるお酒というイメージを覆したいと思って~」とサラっとおっしゃっているので「確かに~!」と、思わず笑ってしまったのですが、テキーラの印象がガラリと変わるくらいの上品な香りと味の深さに、おいしいを通り越してまたまた衝撃。私は今度からバーにいって「カクテル何にしますか?」ときかれたら、「トミーズマルガリータ」って注文しよう!と速攻スマホでメモしたくらい。酔っぱらうと忘れちゃうんでね。
こういうものは何事も実践と場慣れあるのみなのだ!と思いながら2杯目に出て来た柚子と紫蘇をつかった「フローズンマルガリータ」も、まるで料亭で出てきそうなくらいの繊細な香り。「和のカクテル」とおっしゃるこのテキーラ、本当に和食と一緒に飲みたくなる味。奥が深すぎるテキーラの世界!
あとクエルボ愛を熱く語っていたパパドプロスさんも、実は元バーテンダーということで、シェイカーを豪快にふる姿は、会場が一番盛り上がった瞬間でもありました。
ちょっとずつしか飲んでいないのに、3杯目のヨーグルトとフレッシュパイナップルを使ったという、ビジュアルも華やかなカクテルが出て来た頃には、すっかりいい気分で酔ってしまい名前のメモすら取り損ねてしまったわけで、相変わらず自分で、今こうして備忘録をまとめながら、「何をやっているんだ私!」と、ツッコミを入れる事態に陥っています。あーもう!ばかー。自分。
ま、だけど、江刺さんのいる<SPIRITS BAR Sunface SHINJUKU>にきて「あの時のぉ…」と事情をいえば、きっと作ってくれるんだろうなと思い、せめてこのお店の場所をしっかり覚えておこうと決めたのでした。
それにしても、都内のこういう素敵なお店って、看板が小さいとか、看板がないとか…、いろんな意味でたどり着けないことが多いじゃないですか。ここの<SPIRITS BAR Sunface SHINJUKU>も例にもれずやっぱり看板がない!入りにくい以前に、誰かに教えてもらわないと、発見できない。
しかしながら、江刺さんのテキーラカクテルの美味しさを知ってしまったからには、今度、勇気を振り絞ってでかけようと思います。新宿でひとりBAR。あぁ、楽しみ。せっかくだからオシャレしていくとします。
今回ご紹介したのは、新宿の <SPIRITS BAR Sunface SHINJUKU(スピリッツバー サンフェイス シンジュク)> で開催されたクエルボセミナーです。西口の郵便局のとおりにある「大和家ビル」の10階にあります。
クエルボの美味しさを教えてくれたステリオス・パパドプロスさんとも最後に記念撮影してもらいました。「ここはメキシコタイムだから~」 と時間を気にせず熱くテキーラとクエルボの魅力を語る姿がとても印象的。すごく心に残るひとときになりました。どうもありがとうございました!
スピリッツバー サンフェイス シンジュク (バー / 新宿駅、都庁前駅、新宿西口駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.9
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