いつかは死んでしまうということを、普通に生きているとなかなか意識できないでいる。「絶対なんてナイ」とかいうけれど、アル。人はいつかみんな死んじゃう。
生まれたときから、みんな死に向かって生きているんだ。ただ日々の生活が当たり前すぎて、そんな大事なことを忘れてしまう。
今日の夜、野村沙知代さんが突然お亡くなりになったという訃報をきいて驚いた。
先日偶然、近所のホテルでお見掛けした彼女は80過ぎとは思えないほど若く見えた。
スっとのびた背筋、艶やかな服、整った髪、あの派手なメイクは全くなく、ものすごくナチュラルで、凛とした貫禄を漂わせて同じエレベーターに乗り込んできた。たまたま行先も一緒で、彼女の横で、私はケーキを選んでいたのだけれども、お店にいた誰もが、そのおばあさんが野村沙知代さんであることに気が付くほど、独特で強烈なオーラを放っていて、別に有名人みかけても騒ぐ話ではないけど、なんだか特別なインパクトを感じた瞬間だった。
私が子供のころは、スキャンダラスな話題でいろいろ報道されていた人。
あれから何十年もたって、実際にみかけた歳をとった野村沙知代さんはすごく幸せそうだった。そのお店は奥がレストランになっていて、ケーキを選ぶとスタッフにエスコートされるようになかへと入っていかれたので、「あぁ、奥に野村監督がいらっしゃるのかな?」と思った。私はケーキをテイクアウトしてお店をでたので、本当にものの数分のできごとだったけど、やけに記憶に色濃く残る瞬間で、それが彼女の魅力なんだろうなと思ったし、あんな風に歳をとっていくのも悪くないなと、ふと憧れたのでした。
当たり前の、いつもの毎日を丁寧に大事に生きよう。幸せに歳をとろう。
そして、いつかあんな凛とした空気を醸し出せる、いい女になりたい。
一瞬だったけど、同じ瞬間を生きれてよかったなと思いました。ご冥福をお祈りします。