静岡県屈指の高級住宅地としても知られている愛鷹山の麓。地元では「静岡のビバリーヒルズ」とも呼ばれているそうなのですが、レストランがすごい美術館として、その知名度は一躍全国区に!
そんな富士山の南に位置するこの「クレマチスの丘」で、あのオランダの人気キャラクター・ミッフィーちゃんに出会える企画展がやっていると聞いてでかけてきました。
胸に迫る圧倒的な筆圧!ベルナール・ビュフェ美術館の展示
通常は館内撮影禁止なのですが、今年開催されていた「美術館に行こう! ディック・ブルーナに学ぶモダン・アートの楽しみ方」のイベント期間中は、一部カメラOKになっていたんです。
■戦後のフランスで活躍したビュッフェの美術館が静岡にあるワケ
出典: ベルナール・ビュフェ美術館公式サイトより
ベルナール・ビュッフェとは、第二次世界大戦後のフランスで活躍していた画家です。日本でも1950年代ごろから頻繁に紹介されるようになり人気も高かったんですが、どうしてビュッフェに特化した美術館がいきなり静岡の小高い丘に設立されているのかご存知でしょうか?
それは、スルガ銀行の創業家で三代目頭取にも就任された岡野喜一郎氏が、ビュッフェの大コレクターだったから。世界中の人が、戦後の動乱のなか、必死に生きていた時代。かぼちゃの〇車事件以降、いろいろケチがついてしまった銀行ではありますが、岡野氏がビュッフェのパトロンをしてくれていたおかげで、令和を生きる私は、巨匠の作品を、リュックサックを背負いながら、気軽に拝見しにくることができたわけです。ありがたや~!
■大きな荷物はロッカーに預けられる
ビュッフェの美術館のチケット売り場の横には、大きなロッカーがあります。美術鑑賞するときはひたすら絵に集中したいですから、こういうの助かりますよね。子連れ旅行にも安心です。
100円も返ってくるよー。広い「クレマチスの丘」のなかを散策中、雨が降ってきたりしたときは傘もお借りできるそうなので、めちゃめちゃ便利。
■まるで日記をつけるように絵を描くベルナール・ビュフェ
ビュッフェの作品の特徴は直線的な黒の線で、モノや人の輪郭がクッキリ捉えられているところ。
ビュッフェは、絵を描くことが大好きで、生涯でなんと約8000点もの作品を描いたそう。早い時期から評価されていたアーティストということもあり、後年の作品は“マンネリ化している”という評価もあるようなのですが、私は戦後の動乱の時代から奥様・アナベルさんに出会い、子どもたちに恵まれ、だんだんと平和な世の中になっていく時間とともに、ビュッフェの作品も、どこか穏やかで優しいものになっていくように感じました。
あの『悲しみよ こんにちは』を書いたフランソワーズ・サガンとも交流があったそうですよ。
岡野喜一郎氏コレクションのビュッフェの作品を年代ごとに見ていくことができるこの美術館は、まるでビュッフェの日記を読みながら、彼自身の生涯をたどっているかのような気持ちになりました。
実際、ビュッフェ自身も、この美術館に訪れたことがあるそうです。
“ビュフェは当美術館を愛し、生前にはアナベル夫人とともに7回の来館を果たしました。1996年5月、版画館(現在の別館・企画展示室)がオープンした際の来館が最後となりました。そのとき、ビュフェは、次のような言葉を残しています。
引用:ベルナール・ビュフェ美術館公式サイト
「素直な愛情をもって、絵と対話してほしい。絵画はそれについて話すものではなく、ただ感じ取るものである。ひとつの絵画を判断するには、百分の一秒あれば足りるのです」。
もしビュッフェが生きていて、こんなにかわいいミッフィーちゃんの解説付きで、日本の子どもたちや浮かれポンチな私みたいな人が、この展示を見ながらわくわくしている様子をみたら、またおもしろい作品が生まれたのかなぁとか妄想しちゃいました。
■『ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展』も!
この、ベルナール・ビュフェ美術館は、意外と館内が広くって、同じ時期に『ミッフィーのたのしいお花畑 ディック・ブルーナが描くお花と絵本の世界展』も開催されていて、こちらもゆっくり鑑賞してきました。
ミッフィーちゃんが出来上がるまでのディック・ブルーナの様々な視点を見学することができて、キャラクター好きとしては、キュンとくるポイントが盛りだくさん。子どもの時にここに来ていたら、ミッフィーちゃんブームが巻き起こっていたに違いありません(笑)
ティータイムにはミッフィーちゃんの潮生クリーム大福
おやつの時間には<うつわ茶房 KEYAKI>という、同じくクレマチスの丘のなかにある静かなカフェにやってきました。こちらは現在休館中になっている「IZU PHOTO MUSEUM」の隣にあるのですが、ベルナール・ビュフェ美術館から歩くとけっこう距離があるので、館内を周遊しているシャトルバス(無料)を利用するといいと思います。
お店は<日本料理tessen>の1階です。鎌倉を拠点に食べる道具の美しさを紹介していらっしゃる祥見知生氏が監修をしているお店だそう。器好きな女性にはときめくポイントが店内にたくさんあるかも。
「うつわを愛することは日々を愛すること」と語り、うつわにまつわる著書も多数執筆、出版されている祥見氏が選んだうつわをはじめ、静岡の作家たちの作品を紹介していきます。
引用:日本料理tessen公式サイトより http://www.tessen.jp/index.php?contentid=87
クレマチスの丘で開催されている企画展と連動したメニューも多く、このミッフィーちゃんの展示の最中にはこんなにかわいらしいフードメニューがありました。
私はお茶の利用だったので、潮生クリーム大福と抹茶のセットを注文。ミッフィーちゃんの完成されたシルエット。この輪郭のすごさにしびれます。
塩味が効いたあんこと生クリームが絶妙で、この美術館、本当に食事のレベルが高すぎるー!と改めてびっくりしたポイントでもありました。
※ミッフィーちゃんとクレマチスの丘のコラボ企画は2019年9月29日までで終わっていますので、ご注意ください。
今回ご紹介したスポットは<ベルナール・ビュフェ美術館>と<うつわ茶房 KEYAKI>です。両方ともクレマチスの丘のなかにあります。
住所:〒411-0931 静岡県駿東郡長泉町東野 クレマチスの丘347 1
TEL:055-989-8787
▼クレマチスの丘にある人気レストランもチェック
<リストランテ プリマヴェーラ(Ristorante Primavera)>