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絶望的な1日のはじまり。2021年2月のCal Bar(記述式試験Essay)体験談

カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ

さて、ここまで試験制度教材・勉強法について紹介してきましたが、今回は私が合格した回(2021年02月期)の試験の出来など。。。

カリフォルニア司法試験!1日目の記述式の様子

ホテルの様子

午前中に3問のEssayを解きます。まぁ午前中といっても日本では深夜1時ですが…。ビジネスホテルは静かで快適でした。持ち込んだ栄養ドリンクと眠眠打破を飲んで試験に臨みます。

エッセイの1問目でいきなりまさかの惨敗…

◆ EssayのスタートはEvidenceから!

裁判所で原告と被告がやりとりが行われ、各やりとりに用いられる証拠について適否を回答するEvidenceのお決まりの問題。店舗の階段の吹き抜けから落ちて負傷したので、店側を訴えています。カリフォルニア法に従うように指示がありました。原告被告のやりとりがそれぞれ設問Aの(1)~(5)、保険会社のレポートの適否が設問Bと、合計6つの証拠について解答が求められています。

過去問などと比べて特に難しい内容はなく、答案構成には苦労しませんでした。しかしながら、証拠法は常に時間との戦いであることを承知していたにも関わらず、答案構成がうまくできた余裕からか、たいして配点もないRelevanceとPersonal Knowledgeを各問で丁寧に論じるなどして時間を浪費。その結果、しっかりと回答できたのは設問Aの(1)~(4)までで、設問Aの(5)と設問Bはろくに論じることもできず、さらっと結論を記載するという有様に。全文答案を書いて練習しなかったリスクが顕在化しました。

予想Raw Score:50点 ⇒ 40点台がつく可能性も否定できませんが、6つの証拠のうち4つは十分に書けているので、ギリギリ50点でしょうか。いずれにせよ酷い結果です。

◆ 涙目でしょっぱなから放心状態に

試験の最初から大過失を犯してしばらく放心状態でした。設問Bに辿り着けなかったのは痛すぎます。過去の受験と比べても指折りの酷い出来です。とはいえ、MBEではScaled Scoreで1500点くらいは取れるはずですので、残りの科目で60点レベルを揃えられればまだ十分に合格点に到達します。切り替えてEssay2問目以降へ。

2問目の契約法・救済法もパッとせず、あっさり追い込まれる

◆ Essayの2問目はContracts/Remedies

業者用のトラクター芝刈り機を購入したがやたらと故障するので、メーカーに返品を申し出るも拒否されて提訴。訴訟の行方と認められ得る救済措置について論じる問題。購入契約において明示的に「No Warranty」の記載があるのが肝です。Remedyは常に書くことが多いのに、契約法にも重たい論点があるという問題。嫌な予感がします。

まず問題文が長くてしんどかったです。特にリモート受験の場合は問題文の表示領域が狭いため、何度もスクロールして解き進めなければならず難儀しました。さらには練習問題でExpress WarrantyやそのDisclaimerが正面から問われたことがなかったため、戸惑いました。そして1問目同様、時間がショートしそうだったので、契約論はかなり薄く、ありがちなRemedyを淡々と論じ、肝心のDisclaimerは「Express WarrantyはDisclaimできない」とさらっと触れる程度になってしまいました。

予想Raw Score:55点 ⇒ Contractが十分に議論できていないので、及第点に届かないことは明らかです。Remedyはそれなりに書けたのですが、時間に追われて全体的に甘い感じに。

◆ ロケットスタート逆噴射…

Essayの1問目・2問目ともひどい出来で相当に凹みます。ちょっと設問が厳しい印象。70点レベルの科目がないとMBEでの挽回が難しくなります。試験の合間には、今回まだ出題されていないProfessional Responsibilityのアウトラインを確認しておきました。

3問目の夫婦共有財産法はヤリ手の妻!ギリ及第点にのせる

◆ Essayの3問目は Community Property

オーソドックスな夫婦共有財産の問題で、妻が父親の骨董本屋の手伝いを婚前から継続的に行っており、婚姻中にそのビジネスの半分の持ち分を譲り受け、その父親の遺言でビジネスの持ち分の残りの半分を含むあれやこれやを譲り受けます。婚姻中の妻のLaborを実家のビジネスに費やしているので、PereiraとVan Campの各方式での分配の検討が必要となります。

婚前・婚後、生前・死後の整理には注意が必要ですが、全体としては回答しやすい問題でした。ビジネスの分配だけが問われていたので、PereiraとVan Campで抜けなく整理しました。Community Propertyでは他の科目のようなIRAC(Issue – Rule – Application – Conclusion)の形式ではなく、Presumption – Source – Action – Dispositionの順で論じるのが定番です。時間的にも焦ることもなく、3問目にしてようやく答案としてきちんとまとめられました。

予想Raw Score:65点 ⇒ 合格点に必要な内容は問題なくカバーできた認識ですが、模範答案ではReverse Pereira/Van Campやのれん代をしっかりと論じており、加点事由までの記載はできなかった印象です。

◆ 首の皮一枚で何とかつながった!

ようやく調子が出てきたので、気を良くして後半のEssay4問目に臨みます。お昼休憩(といっても日本は夜中ですが)は再びProfessional Responsibilityの復習を。近年は必ず出題されているので。睡魔に襲われないように、ホテルの外で体操するなどして過ごしました。

ここまでが午前中でした!次回は引き続き記述式の後半の様子をご紹介します。


【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。


text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。