久々の投稿になります。ドナルドです。
アメリカの多くの州で7月26日と27日に行われたBar Exam(司法試験、弁護士試験)について、択一式試験(MBE)の平均点が公表されました。
もくじ
ニューヨーク州司法試験の合格発表はいつ?
近年、なぜか空前の注目を集めているニューヨーク州の弁護士試験ですが、昨年度の合格発表は10月28日でした。年によってまちまちですが、おおよそ10月23日~11月上旬の間に発表されています。2022年2月期の合格発表は例年よりも10日ほど早かったので、今回も10月17日週に発表があるかも知れませんね。なお、ニューヨーク州司法試験合格者名簿の見方は下記記事をご参照ください。「July 2021 Bar Exam」とあるのは「July 2022 Bar Exam」と読み替えてください。
択一式試験の平均点は例年並み
MBEはNY州やCA州といった多くの州の司法試験で配点の半分を占める重要なパートです。4択式の試験で、3時間100問の試験を午前と午後の合計6時間200問こなします。正答数がそのまま点数になるわけではなく、毎回複雑な点数調整がなされます。
グラフから分かるように(2020年は特殊な開催だったため、比較値としての価値が低いので無視します)、ごくごく例年並みの平均点でした。2022年2月の試験は132.6点が平均点でしたので、2022年7月期は7.7点も高いですね。基本的に受験生の質によるところがほとんどですが、MBEについては毎回の難易度に応じた点数調整がなされるとはいえ(今回の平均点ですとおおよそ65%程度の正答率)、実際のところは試験問題が難しかった場合には平均点が低く、易しかった場合には平均点が高くなる傾向にあります。今回の試験(MBE)については、特に難しくもなく易しくもなくといったところでしょう。
ニューヨーク州司法試験の合格率予想
米国の司法試験は合格者数が決まっている相対評価形式ではなく、所定の点数に達すれば合格できる絶対評価ですので、平均点が高い場合には合格者数も多くなります。ニューヨーク州司法試験(NY Bar)の合格率はMBEの平均点とよく相関していますので、今回のニューヨーク州の合格率は昨年7月期と同様の63%前後になると思われます。平均点以下でも十分に合格は可能です。
日本人受験生への影響、小室圭さんに追い風か!?
MBEの平均点と日本人受験生との関係ですが、一般的に日本人受験生は英語での論述力でネイティブに劣るため、大学入試センター試験などを通じて磨き上げてきた択一式試験のスキルを活かし、MBEで得点を稼いで逃げ切るのが合格パターンです。
前回2022年2月のMBEの平均点が過去最低レベル(≒難しめ、向かい風)だったことを考えると、今回は普通の難易度でしたので、MBEで稼ぎたい日本人受験生にとっては無風状態(有利不利なし)だったといえます。
いまや日本一注目される受験生となった小室圭さん。前回残念ながら合格点に5点足りなかったということでしたが、上述の通り今回のMBEの平均点は2月期よりも7.7点高いので、7月期の受験生の平均レベルにまで高められていれば、論述試験が前回と同じ出来でも合格です。MBEの正答率を3~5%程度向上させるイメージで、試験勉強に集中できる環境であれば十分に可能な範囲です。
※ ニューヨーク州の合格点はMBEと論述式試験の合計で266点であり、2022年2月期の小室圭さんは261点とのこと。MBEで今回の平均点140点を取得できれば、論述式は126点(平均を下回るパッとしない出来)で足りる計算です。
※ 小室圭さん、合格されていました!おめでとうございます!多大な注目が集まるプレッシャーの中、実力を発揮されたということで素晴らしいですね。恐らくはまだMPREや適性審査などの試験・手続きがいくつか残っているでしょうから、もうひと踏ん張りですね!(2022年10月21日追記)
以下、いただいたご質問に回答します。
Q.小室圭さんは人物適正審査で落ちているのでは?
試験と人物適正審査は全く別プロセスです。合格者リストに名前が載っている人は、単に試験で合格点をパスしたというだけで、それとは別に人物適正審査などを行って、正式に弁護士登録されます。人物適正審査は他者の推薦やこれまでの経歴などを問うもので、タイミングもある程度は任意です(試験合格後に審査を申請することが多い)。司法試験の採点時に考慮される余地は全くありません。
また仮に、週刊誌で報道されているような内容が事実だったとしても、本人の犯罪歴でもないですし、人物適正審査が通らないとは思えません。
Q.小室圭さんは「“ペーパー試験”というものに滅法弱い」との報道がありますが?
前回の試験であと5点のところまできているとのことですので、仮に「“ペーパー試験”というものに滅法弱い」のだとすると、弱い領域でもかなり頑張られたということですね。同じFRIDAYの記事で「合格する未来は正直見えません(小室さんの知人)」というのもありましたが、いやいや、あと5点なら当日の出来次第でも合否が変わる程度の水準に到達していますよ(知人のかたが「見えない」のは勝手ですが…)。
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは、随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。