カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。前回はアメリカ司法試験の合格率についてお話しましたが、今回はオンライン受験の様子や弁護士の登録手続きに必要な作業、年会費などについてご紹介します。
コロナ禍でも試験は予定通り実施。リモート受験体験談
2020年7月期の試験は開催が危ぶまれましたが、2020年10月に延期されて、ノートPCでのリモート受験が可能となりました。従来より記述式の試験時にはノートPCでの受験が可能でしたが、リモートでの受験は画期的です。
◆試験中はノートPCのカメラで監視されてる?!
試験用ソフト・試験問題ファイルを予めノートPCにインストール・ダウンロードしておき、試験開始時間になると公開されるパスワードを入力して試験を開始します。事前に模擬問題で使い慣れておくのですが、試験中に不具合が生じた場合にはサポートに連絡する必要があります。試験開始時間は30分の枠が設けられており、自分のタイミングで試験を開始することができます。試験時間は開始してからカウントされますので、慌てる必要はありません。
試験を開始すると、インターネット接続を含め、他の全ての機能が使えなくなります。私は大きな不具合は生じませんでしたが、回答欄のコピペが使えなくなり不便でした。幸いメモ用のスペースからは機能したので、サポートにコンタクトすることなく終えることができました。
試験中はノートPCのカメラで録音・録画されます。インターネット接続は切られており、リアルタイムでの監視ではありません。試験終了後、答案ファイルをアップロードする際に、録音・録画ファイルも併せてアップロードされ、そのファイルをAIが解析して不正行為がないか判断します。(2020年10月の試験では誤判定が多数生じたようですが、2021年2月の試験では特に問題は生じなかった模様) 基本的にノートPCのスクリーンに集中することが求められており、頻繁にスクリーン外を見るなどしていると不正フラグが立つようです。もっとも、MBE(択一式試験)では解答にスピードが求められ、記述式試験は出題範囲がやたらと広いので、カンニングペーパーなどを用いる余裕はないように思いますし、逆にカンペを用いるだけの時間的余裕のある人は、さくさくと問題を解き進められているということなのでカンペを用いる必要性がないです。
予め写真付き身分証明書も登録するので、他人が替え玉受験することもできません。ファイルの保持期間は定かではありませんが、後から確認できる点も含めて、試験官が見張るよりも効果的ですね。もともと合格率の低い試験ではありませんし、受験回数の制限もありませんので、受験資格の喪失などのリスクを冒してまでカンニングや替え玉をするメリットはないです。
私は近所のビジネスホテルを借りて受験しました。昼夜逆転の生活以外は大きな支障はありませんでした。
米国司法試験の合格発表はいつ?
通常は7月試験の合格通知は10月ごろにされますが、2021年7月期のニューヨーク州司法試験の合格発表は12月半ばのようですね。不合格の場合には2月に備えなければならないので、採点期間が長いのはストレスですね。
◆アメリカ弁護士の登録手続きや年会費は?
また、司法試験に合格しただけでは弁護士として登録することはできません。登録要件は州ごとに異なりますが、法曹倫理試験(MPRE)という弁護士としての倫理観(例:利益相反の考え方)を問う試験をパスしたり、知人らに自身の弁護士としての適性を支持してもらったりすることが必要です。なかなか煩雑なものもあり、司法試験に合格⇒即登録とはいきません。例えばニューヨーク州ですと50時間のプロボノ活動(専門性を活かしたボランティア活動といったところでしょうか)が必要となりますし、カリフォルニア州だと指紋カードの提出が必要となるなど、州ごとに要件が異なります。
なお、年会費は2~5万円程度(カリフォルニア州ですと515 USD/年)となっており、日本の弁護士会費に比べるとリーズナブルです。
次回は米国司法試験の勉強について詳しくご紹介しようと思います。どうぞお楽しみに!
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは毎週火曜日19時の配信となります。随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。