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致命傷は回避。2021年2月のCal Bar(記述式試験Essay)受験レポ

カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ

前回は2021年の1日目、午前中とにかく難しかったEssay3問のお話をしましたが、今回はなんとか挽回すべく午後のパートについてです。

ようやくクリーンヒット!加点も期待できる

◆ 午後の1問目は待ちに待ったProfessional Responsibility

大方の予想通りに今回も出題された弁護士倫理。待ってました、という感じです。新米女性弁護士Lindaが非弁の整体師と手を組んでみたり、離婚訴訟で相談してきた男性クライアントに夢中になってしまって訴訟対応を疎かにしたり、とやりたい放題。カリフォルニア州とABA(American Bar Association)の両方のルールから論じるように指示がありました。

Lindaがいろいろとやらかしていますが、Essayの試験的にはよくあるやらかしなので、テンポよく解き進めることができました。カリフォルニアの弁護士倫理は近年の改訂によってABAに近い内容となったこともあり、若干論じやすくなっています。ABAとCAのルールの違いもしっかりと記載でき、満足のいく内容。

予想Raw Score:70点 ⇒ 答案分量も1000 wordsを超えており、いくつか加点事由候補を記載できたので、65点を超えるであろうと自己評価。

◆ なんとかMBEにつなげたい

Essayの3問目と4問目で一応は息を吹き返し、少しですが気持ちが落ち着いてきました。ここまでの4問で素点は平均60点程度でしょう。目指していた水準ではありませんが、このままWriting試験を終えられればMBEで取り返すことはできそうです。残りの1問のEssayはズバリConstitution(憲法)とヤマをかけて復習をしました。

鬼門の不動産法。エッセイガチャの行方は…

◆ Essay最後はまさかのReal Property

Essayの5問目は意表を突いてReal Property(不動産法)でした。不動産法に全く馴染みのない私の苦手分野ではありますが、何とか60点は確保したいところ。Easement(地役権)にReal CovenantとEquitable Servitudeを絡めるという結構面倒な問題。設問も長めです。

「周辺環境の変化によって状況が変わったので~(当初の決まりに拘束されない)」という主張をうまく利用する必要があったのですが、感覚がなさすぎてやはり難しいです。また、複数のEasementを検討して「これは当てはまらない」みたいに論じたかったのですが、時間が足りずに断念して、他の論点を丁寧に仕上げました。いろいろと間違っていたかも知れませんが、それなりに議論できたので、致命傷は避けられたはず。

予想Raw Score:60点 ⇒ 及第点である65点でもよさそうな出来でしたが、やはり書き残しがあるので少し届かないと予想します。改めて不動産法の難しさを痛感しました。

◆ Essayガチャは外れ…

Essayの5問は全く期待した出来ではありませんでした。私の弱いところを次々に突かれた感があります。設問が長かったり、回答量が多かったりと日本人受験生全般にも厳しい問題が多かったと思います。ガチャ的には大外れ。かなり消耗もしました。ただ、悪いながらも辛うじて平均で60点前後を維持できたとは思うので、最後の難関であるPerformance Testも60点で乗り切ることができれば、試験1日目は十分です。練習問題もそれなりに(おそらく他の受験生よりもかなり多く)こなしましたし、準備万端のつもりです。

Performance Testが難しすぎる件

◆ 設問も環境も厳しい

非営利のメンター集団がメンティーにビジネスのいろはを教えていたが、自分のビジネスに誘導しようとするメンターや、助言が適切でなかったと不平を訴えるメンティーなどトラブルが増えてきたことの相談です。ボス弁のために、メンターとメンティーの関係性の整理や契約書ドラフトのレビューをすることが本件の課題です。

設問ファイルがPDFで20ページ超えると「長いな~厳しいな~」という感覚ですが、今回は22ページの大作。資料の内容も、指令メモ、インタビューメモ、ニュース記事、契約書ドラフト、裁判例2件とてんこ盛り。ノンネイティブ泣かせの設問です。契約書ドラフトのレビュー(修正提案)は、丁寧な読み進めが必要となり、かなり時間がかかりました。90分の試験時間のうち、45分で資料を読み終えて、残りの45分で答案を作成したいところでしたが、読むのが追い付かずに50分以上かかりました。その結果、答案もかなり薄めに…。

設問ファイルは各資料が1つのPDFにまとめられているので、行ったり来たりして読み比べするのも手間がかかり、また、PDFにはマーカー等を使用できないため読み直し時に大変です。さらに回答欄でのコピペ機能が試験中に不調になるなど、環境面でも少し苦しかったです。

予想Raw Score:55点 ⇒ ここ数年のMPTや加州のPerformance Testの中でトップクラスの難しさだったと思います。資料のニュース記事をうまく使うことができず、契約書案への修正提案も薄っぺらい内容になってしまいました。判例からのルール抽出と本件への当てはめは一応できたので55点が適当なところかと。

◆ 致命傷だけは避けた。翌日のMBEに賭ける!

小室圭氏で話題になっているアメリカの司法試験。2021年の日本人合格者による勉強方法やテキスト、申し込み方などのリアルレポート!今回の試験における反省点や予備校受講の要否についてご紹介です。

これで記述式試験が全て終了しました。予想Raw Score(素点)の合計は410点です。平均では60点を割り込み、厳しい出来。記述式はガチャ的な要素があるとはいえ、今回は私には難しい問題が多めでした。Scaled Score(調整後の点数)では1300点~1350点くらいに換算される計算です。カリフォルニア州の合格点(Passing Score)が2780点ですので、MBEで必要な点数は1430点~1480点。何とか致命傷だけは避けることができ、翌日の択一式試験で挽回可能な範囲です。

※ Raw ScoreからのScaled Scoreの換算(推測)についての解説はこちらをご参照ください。


【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。


text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。