中尊寺をはじめとする無量光院跡、金鶏山などの仏教思想や庭園造り、また日本らしさが光る自然観などが色濃く残るスポット「平泉」。あの東日本大震災のあった2011年に世界遺産に登録された岩手県の観光名所で、辛いことが多かった時代の東北にポッとあたたかい光が当たったのは今でも強烈に思い出されるところです。
教養:毛越寺って正しく読める?
その平泉を構成するひとつの「毛越寺」を、私はこのとき、はじめて「もうつうじ」と読むのだと知りました。なんでも「越」という字を、越は慣用音でオツと読むことから、モウオツジ→モウツジにと派生して、モウツウジと読むようになったそうです。
日本の地名というのはつくづく奥が深いなと感じさせられます。
心が癒される『浄土庭園』を散歩
平泉のなかでも人気が高く、有名なのは中尊寺金色堂ですが、実際にあちこち回ってみて、自分のなかで最も色濃く印象が残ったスポットが「毛越寺」でした。松尾芭蕉の奥の細道にもでてくる藤原基衡さんがつくったと言われるお寺ですよ。
この「大泉が池」を中心に構成されている浄土庭園は、ぼーっと見ているだけで頭のなかの悩みとか考え事がスっと吸い込まれそうになるくらい素敵な場所でした。「極楽浄土を地上に表現しました!」ガイドのおばちゃんにライトに言われたときは、ひねくれものな私ったら「強めのお薬だしておきましょうか」くらいな疑いの目を向けていたわけですが(すみません!)、この風景を目の前に見たときはあの言葉が大げさじゃなったことを知り、同時にいろんな物事がストンと腑に落ちる納得感がありました。
◆芭蕉の『奥の細道』の情緒あふれるスポット
日本最古の作庭書「作庭記」の思想や技法のベースとなっているとても貴重な庭園なんだそうですよ。今まで私が京都や奈良、その他もろもろのスポットで見てきた庭園とかのお手本的な存在がこの場所なのかと思ったら、蓄積されていた頭のなかのいろんな庭園のセンスとかアイディアが、スライドショーみたいに思い出されるような不思議な気持ちになりました。
大泉が池は浄水をたたえ、その周辺には、州浜、荒磯風の水分け、浪返しにあたる立石、枯山水風の築山といった石組みや、池に水を引き入れる遣水など、自然の景観が表されています。
毛越寺公式サイト|http://www.motsuji.or.jp/keidai/index.html
100年にわたって繁栄したという藤原氏の栄華。松尾芭蕉は奥の細道のなかで、「一睡の夢のように」とはかないものとして表現していましたが、私はこの極楽浄土のお庭をみていたら、確固たるしぶとさを感じました…!だって、平安時代って現代から数えたら800年以上も昔のこと。その光景を、こうして今、浮かれポンチな私に見せて感動させてくるって、悠久の時を超えすぎでしょう。戦乱の世に、100年の平和をもたらしていた彼らは、儚さよりも偉大さを感じます。
もし、松尾芭蕉さんが現代にいたら、どんな句を詠むのかな。そもそも、俳句以外にも発信方法がありすぎて、カリスマインスタグラマーとか、プロブロガーみたいになっていたりするのかな。なんだかいらぬ妄想をしていたら、止まらなくなってきちゃったんで、今日はこの辺で。
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