カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。小室圭氏が受験した2022年2月の試験について、今回も読者の皆様からたくさん質問が寄せられているのでお答えしていきたいと思います。
Q.小室圭さんが合格点に5点足りなかったと報道されてますが、これは惜しいのですか?
小室圭さんが5点足りなかったとのことですが、ニューヨーク司法試験の合格基準は、択一式試験(MBE/マークシート)と論述式試験(エッセイとパフォーマンステスト)の合計で266点をとることとなっています。
NY Barの受験生には合否の他に、合計点と択一式試験の点数が通知されるのですが、合計点から択一式試験の点数を引き算することで論述式試験の点数も分かります。
5点の違いが、どの程度かという点について、2つのパターンで簡単にご説明します。
1.択一式試験だけで5点増やすパターン
択一式試験は200問の四択問題で、午前100問、午後100問を各3時間で解きます。
200点満点ですが、単純に正答数が点数となるわけではなく、例えば、60%の正答率で130点を超えるくらいに変換されます。
択一式試験で5点増やそうとすると、あと6問程度(200問中)の正答が必要です。正答率にして3%アップということで、現在既に高い正答率になっている場合には難しいところですが、本番の出来次第で何とかなる範囲でもありますので、惜しいと言えるかも知れません。
特に今回は択一式試験が難化(平均点が例年よりも低下)したため、小室圭さんには向かい風でした。
なお、清原博弁護士は「“5点”は感覚的には選択式問題2、3問分」とおっしゃったようですが、択一式試験の2~3問の加算では5点には届きませんので、論述式も同じ程度に点数アップする前提(択一式試験と論述式試験のそれぞれで2.5点ずつ上積み)の話かと存じます。
2.論述式試験だけで5点ふやすパターン
今回の司法試験におけるNY州の論述試験は全州共通の問題です。
(ニューヨーク州独自の問題は別途試験あり)
15科目から出題されるMEE6問(1問当たり30分)と、仮想案件への対応を試されるMPT2問(1問当たり90分)の構成で、素点は一応の出来が50点であり、主要論点漏れや加点事由の記載などにより5点刻みで変動します。ただし、素点そのものではなく、複雑な変換式を用いて実際の点数が算出されます。
論述式試験だけで5点増やそうとすると、例えばMEE2~3問で+5点の答案を仕上げることが必要でしょう。日本人受験生の場合は、加点事由の記載をめざすというよりも、主要論点の抜け漏れを減らすことが目標になります。これも問題次第で変動し得る範囲だったと思いますので、惜しいと言えば惜しいかと。
Q.小室圭さんは次回受かるレベルなのでしょうか?
今回の試験結果が5点足りずに不合格だったとすると、次回は上記Q&Aの1.と2.の適当なバランスで合計5点の上積みを実現できればよく、3か月の準備期間があれば十分に間に合うと思います。
次回2022年7月の試験では吉報を期待できそうですね。
Q.小室圭さんが試験に落ちた理由は何だと思いますか?
小室圭さんの状況をニュース報道でしか存じ上げないので何とも言えませんが、米国司法試験は特別な才能が必要な試験ではありません(高い英語力は必要ですが)。日本の司法試験に比べて暗記する項目は少ないかも知れませんが、基本的にはルール・判例を覚え、それらを事例問題に当てはめるだけです(この試験方式について批判があり、より現場思考の試験にすべく制度改革の検討中です)。もちろん法的センスに優れていれば短時間の勉強で合格できるのでしょうが、そうでなくても地道に学習を重ねることで十分に合格可能です。
よって、今回不合格だったということは、単に勉強時間が足りていないのではないかと思います。勤務しながらの勉強でもあり、NYの地での新生活が始まったばかりとのことですので、なかなか時間の確保が難しかったのかも知れません。また、日本人受験生の間で受験対策のノート(日本人ノート)をはじめ、効率的な受験勉強のための情報が共有されていますが、小室圭さんがそれらの情報をうまく得られているかは分からず、苦戦されているのかも知れませんね。
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは、随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。