子どものころ、夏休みの絵日記を最終日にまとめて書いた経験があります。
「〇月✕日にこんなことがありました。」
今でも私の得意技である締切りギリギリの突貫工事作業ですが、実際、全部覚えているのです。〇月✕日がどんな日だったかの詳細を。
もくじ
何年も前の出来事なのに、日付をピタっと覚えている
ある日の私は、前職の関係者らに声をかけてもらって飲み会に参加していました。数年ぶりに再会する懐かしいメンバーでの飲み会。
ワクワクしながら到着すると
「わ~!変わらないね、いつぶりだろう?」
という、久しぶりに顔を合わせた人同士のよくある会話が交わされました。
「前回、会ったのはXXXX年の〇月✕日だから、1年半ぶりですね。」
というと、先輩たちが
「へぇ!そうだっけ?」
と、いいながら、スマホの写真フォルダを検索。私の記憶通りにバッチリ前回の飲み会の写真が出てきました。
「えッ?すごい記憶力だね。」
大人になってから、こういうことがたびたび発生していました。でもよく考えると、これ、子どものころからずっと、なんですよね。
天気や会話まで自分のコトだけ正確に記憶している
夏休みの宿題の絵日記と同じように、大人になってから飲み会で誰とどこで飲んだのかという超どうでもいいことまで、その日の天気や会話の内容に及ぶほど、日付と紐ついた記憶が頭の中にあるのです。
不思議。ほかの人がどうかなんて興味もないし、気にもしてないし、そもそも乗り移るくらいのことしないと、なかなか自分では比べようもない感じでした。コレが普通だとずっと思って30数年生きてきたんですが、結婚してから夫に「日付まで出てくるなんて、君の頭はどうなってんだ?」と言われて、自分でもなんか変だと思うようになりました。
◆自分に関係ないことは全く覚えられない
私は特別、記憶能力があるというわけではありません。それは1年前にネタで受けてみたIQテストでも証明されているところ。ワーキングメモリの項目も、フツウよりちょっとイイくらいのレベルでした。
記憶力勝負で丸暗記しようと試みていた歴史は大の苦手だったし、スイヘイリーベーボクノフネもその後の呪文はあいまいです。この辺りが原因で高校時代は、文系か理系かで随分後ろ向きに悩みました…。そもそもの勉強に向き合う姿勢もどうかしてますが…。
こんな調子だから学校のテストは出来がいい方ではなかったし、この謎の記憶力で得をしたこともありません。でも、仕事においてはイイこともありました。
◆取材は超ラク
一応、何かあったときのためにボイスレコーダーとかは持参してインタビューに伺うのですが、一連のやりとりもほぼすべて映像で記憶に残っているから、原稿を作るときもすごくスムーズです。
バタバタしちゃって、取材後に時間が経ってしまった場合でも、やりとりの要点を思い出しながらパーッとまとめる感じで比較的ラクに原稿を作ることができるので、今の仕事は私の能力にピンポイントでマッチしているなと思ったりします。
◆顔を覚えるのは苦手
私の記憶は、日にちとか天気、どこで誰と何をしゃべったかは保存されているんですが、相手の顔は項目から抜けている感じがするんです。だから、相手が、髪を切ったり、メガネをかけたり、ちょっとでも印象が変わってしまうと、けっこう名刺を二度だししてしまうといったウッカリをしでかしてしまうことも多々あります。
ただ話しているうちに、「あ、X年前の〇月△日にあったあの人だ!」と、ふと思い出すんですけれど、ここで日付をいうとビビられるので、そこはやんわりお伝えしながら謝って仲良くなれるくらいのコミュ力はあります。
昔のことを「忘れない」デメリットって割と多い
逆にこの変な記憶能力、過去の知り合いたちとの付き合い方を難しくする側面もあります。
例えば、ひどい人間に十数年ぶりに何かのタイミングでバッタリ再会してしまった時など
「わぁ、まりちゃん、久しぶり。一緒に写真を撮ろーう」
相手からはものすごく仲が良かった友だちみたいなテンションで話しかけられることがあるんです。でも、こっちは何年の何月何日に、どんな理由でその人物を嫌うようになったのかまで、全部覚えているんですよー!
結論からいうと、会話は必要最低限、もしくは無視したいというのが本音なので、「どちら様?」と、全力で腹の底から低い声をだして、冷たーくあしらってしまうことにしています。
まぁ、そういう昔のことは、大人になって水に流せよ!という意見もあるかもしないけれど(笑)
◆向こうは忘れてるけれど、こっちは全部覚えてる問題の解決方法
「忘れたフリ」作戦はとても有効で、変な人と関わり合いを最低限にすると、たいていのことは解決します。ネクラ~♡
変な人間との距離が自然と保たれ、毎日、愉快な仲間とだけ楽しく暮らしていく、これはとっても大事ですからね。
以前ご紹介しているカバートアグレッションな人物たちとの距離の置き方も「忘れちゃった」でごまかす!という自分なりのベストな解決策も見つけました。付き合わないのが一番。
自分の行動と日付がリンクして記憶される<HSAM>の能力
そしてある日、夫が、この変な能力が私以外にも実際存在しているらしいという日経新聞のサイエンスコーナーで発見しました。
私たちは通常、ある日に起きた出来事を、数日は詳しく覚えている。だが1週間もたつと記憶は薄れ、その日の朝に何を食べたかも思い出せなくなる。ところが彼らは数十年単位で記憶を保持し、まるで昨日のことのように思い出せる。
引用:「超記憶」を持つ人々 出来事と日付を正確に|日本経済新聞より
お!これだ。
この記事に紹介されているのと、私の症状(?)状態(?)はほぼ当たっているわけですが、正直、他人と比べたことはないので、「人並み外れた記憶力」かどうかは、なんかピンとこないんですよね。
そしてですね、
記憶できるのはじかに体験したことに限られ、特定の日付に結び付いている。調査では、特定の日の天気など、ごくありふれた日常的なことも尋ねたが、正答率は非常に高かった。マッガウ教授らは、このタイプの記憶力を「非常に優れた自伝的記憶(HSAM)」と名付けた。
引用:「超記憶」を持つ人々 出来事と日付を正確に|日本経済新聞より
と、私の謎の記憶力に、すでに「HSAM」というなんかカッコイイ響きの名前がついていることが判明して、とってもスッキリしました。いつか、機会があったら、私の頭の中どうなっているのか「HSAM」を真剣に調べてたいなぁ。