今回ご紹介するお話は、数多くある私の海外旅行の失敗例です。バッグごと盗まれたり、タクシーにぼったくられたり、変な人に追いかけられて走って逃げたり、怖い想いもたくさんしているんですけれど、そう。今回は怒られました。
わざわざいい歳の大人が、ギリシアまで来てなにしてんだよ!って思われるかもしれませんし、そんなこと、私が一番思っているのですが、何をしでかしたか言い訳と共にお話したいと思います。エーゲ海には数々のキレイな島が浮かんでいるわけですが、このクレタ島というのがギリシャ最大の島ということもあって、到着早々、ものすごい快晴。嬉しい気持ちで朝ごはんをいっぱい食べて、元気に観光に繰り出したんです。
ところが、遺跡に到着してみると、どこもかしこもレプリカ、レプリカの連続。別に悪くはないんだけれど、現地の人の説明によると「修復するときにけっこうやらかしちゃって、世界遺産になりそこねたんだ~」みたいな感じで、もう調子に乗りまくっている私は30℃を超える猛暑ということもあり、「世界遺産じゃないならもういいよー」と駄々をこねる始末。そしたらどうやらイラクリオンの町の中心にある「イラクリオ考古学博物館 (Heraklion Archaeological Museum)」へいけば、ここにある遺跡の本物が展示してあるという情報をゲット。
クーラーきいているし、最高じゃーんというまたまた浮かれた気持ちで、街中へと引き返していったわけです。暑くてクタクタ~。
当然、由緒正しき、ちゃんとした博物館なので、ここへ来ることを目的にクレタ島に来る人も多いほどのすごい場所なのですが、私は半分、涼みたいという目的と、レプリカじゃやだという生意気な思考を胸に、たどりつきました。すみません。そしたら予定通り、涼しくって快適で、混みすぎていなくっていい感じ。
この考古学博物館の最大のみどころというのが、こちらの牛頭型のリュトン。冒頭で暑さにやられてブーブーいっていたクノッソス宮殿から発掘されたという代物。何かの儀式とかのときに、お酒を入れる器として使われていたのではないかと推測されているそうですよ。驚くのはその年代。紀元前16世紀ころと推定されてるそうです。気が遠くなりそうな時間の流れを静かに過ごしてきた牛さん。自分が丑年女であるということもあって、とても感慨深く見つめてしまいました。あたまの角の部分には金箔。とっても豪華。そして少し写真だと見にくいですが、鼻の周りには真珠も。この子らは、とっても大事にされていたんだろうね。きっと神様みたいな存在だったのかもね。タイでは象が神様だったように。この地では牛が神様みたいな存在だったのかなとかって妄想がどんどん膨らみます。
壁画とかも、本物の残っている部分がいかにわずかか…という貴重さをこうして本物をみていると感じさせられます。レプリカで修復されたものより、やっぱグっと胸に迫るものがありますよね。この「献上行列」という作品も、クノッソス宮殿に飾られていたんですって。あんなにちょっとだけ…。それでも本物はイイ。
さっきまで、「レプリカやだー」とごちゃごちゃたれていただけのこともあり、本物の遺跡に出会えて感激いっぱい。「両手を上げた女神像」とか間近でみつめているだけで、「昔、このポーズはやっていたのかなー。」とか想像するだけでもわくわくしません?
展示物を見て回りながら「時代が変わるとポージングも変わるんだー。やっぱりこの時代のモデルさんも流行りとかあったのかねぇ?」と妄想がふくらみすぎてこんな感じで記念撮影を始めたのがまずかった。あ、ちなみに断っておきますけれど、ヨーロッパは美術館も博物館も撮影OKのところが多くて、こちらのイラクリオン考古学博物館も写真OKなので、みんなバシャバシャ撮っています。だから怒られたのは、そこじゃないんです。
壁画もクノッソス遺跡の東翼から発掘されたという「青の婦人たち」フレスコ画の青が美しい!とかって、ご紹介したかったのですが、こちらもオリジナルが残っているのはごくごくわずか。青もうっすら。それでも、こんな風に21世紀を迎えた世界中の人々に見つめられている女性たちって羨ましいなと思いながら、4人目の婦人になりすまして記念撮影。私の髪のボサボサ具合はスルーしてね。
「百合の王子」という壁画と共に、私も王子をやってみたときに係りのスタッフから「Only Photo, No pause」と言われました。一瞬意味が分からなかったけれども、2秒後に意味を理解して超恥ずかしくなったのです。「写真だけにしてね。ポーズはだめよ。」なによ、それ?(笑)
フロアにいたほかのお客さんにも「Only Photoだってー」「Pauseだめらしーぞー」と妙な笑いが起きて、死ぬほど恥ずかしかったです。姉妹でエーゲ海に来ているといううちの親くらいの年齢のご年配の女性たちには「とっても完成度高いポーズだったのに。かわいかったわ」と、いらぬ励ましをされましたが、まさかクレタ島でこんなことが起きるとは夢にも思っていませんでした。おかげですごく強烈な島として印象に残りましたけれど。
これからイラクリオン考古学博物館へお出かけ予定の皆さん、写真はOKですが、ポーズとると係りの人に怒られるのでやめましょう。こんなに張り切ってブログに書いちゃうほど、いい思い出の写真ばかりが残りましたが、甘酸っぱいはずかしさがこみ上げてきます。
というわけで、私はエーゲ海もギリシアも大好きですし、古代文明から伝わる歴史についても知識こそ浅いものの、リスペクトを持っているつもりで、悪気はなかったんです。本当にすみませんでしたm(__)m
今回ご紹介したスポットは「イラクリオ考古学博物館 (Heraklion Archaeological Museum)」です。
住所:Xanthoudidou & Hatzidaki St., Heraklio Crete
TEL:(2810)279086-7
エレフテリアス広場(Eleftherias Sq.)から徒歩 5分くらいです。アクセスには観光バスが便利。どんなガイドブックにも書いてありませんが、遺跡と同じポーズして写真を撮っていると怒られるのでご注意ください。それ以外は自由に写真撮影OK。年齢制限もありません。
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