カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。前回はアウトプット向き<MBE>対策のお話をしましたが、今回はエッセイとパフォーマンステスト向けのおすすめテキストを詳しくご紹介します。
カリフォルニア州司法試験<Essay>に役立つ教材
■Essay Exam Writing for the California Bar Exam
インプット用のテキストとしてご紹介した「青本」のKindle版。Essayのアウトプット用教材としても最強です。
全科目+Crossoverの過去問が各6問(計78問)用意されており、全文の答案は2問ずつだけで、全問に解説とIRAC表がついています。
1科目6問というのはやや少ないですが、主要な論点をカバーできるように問題がチョイスされ、解説が用意されている印象です。全文答案がない問題についてもIRAC表をつなげればほぼ全文答案に近いかたちになります。この本の大きな魅力は答案の全てがコンパクトにまとめられている点です。挙げるべき論点・ルール・当てはめがシンプルで分かりやすいです。最低限触れるべき点が太字になっている点も受験生の助けになります。当てはめと結論を「Either way」としている問題も多くあり、問題を解く側としてはありがたいです。
CalBar公式のSelected AnswersやBarBriの充実しすぎた答案を前に、「こんなの書けるわけない…」と絶望してしまうところ、青本の答案は「これなら書けるかも…」という希望をもたせてくれます。Essayの演習では是非最初に取り組みたい教材です。
■BarBri: Essay Testing for California
eBayで購入しました。各科目8~10問程度の過去問です。問題は青本と重複するものも多くありますので、単純にカウントすると122問、重複分を排除すると88問になります。
以前のBarBriのエッセイ問題集は各設問の冒頭に論点・ルールがまとめられ、あとは完璧すぎる答案が記載されているだけで、なかなか使いにくい構成でしたが、近年のものはだいぶ改善されています。模範答案がすごすぎて再現できそうにない点は変わりませんが、答案の後ろにIRACで区切った採点表がついており、自己採点が可能となっています。「要件4つのうち、3つ挙げられたら3点」、「合計40点~45点は合格点、46点以上は優秀答案」など。実際の採点官がこんなに丁寧に点数をつけているとは思えませんが、一応の配点イメージをもつのに役立ちました。
青本以外にも問題演習をしておきたかったので購入しました。青本との重複問題は青本を優先しました。
CalBar向けのEssay採点サービスの評判は…
青本とBarBri以外にも、Essayを採点してくれるサービス(複数社が提供しており、1通2000~3000円くらい)も試してみました。自分でWord等で答案を作成して、サイトにアップロード、数日のうちに採点が届きます。採点といっても、細かい採点表が付いているわけではなく、「60点。〇が×なので、△するのがよい」程度の講評がついているだけでした。正直なところ採点基準がよく分からず、また、採点者によっても評価がまちまちな印象で、この程度であれば青本のIRAC表やBarBriの採点表を参照すれば足りるような気がしました。
一方、(私は利用していませんが)下記の「BarEssays.com」は実際のEssay答案と点数を受験者から買い取って、会員に公開しているようなので、どの程度の答案で何点つくか、というのを把握するのには良さそうです。
カリフォルニア州司法試験対策<Performance Test> に役立つ教材
■BarBri: California Performance Test
eBayで購入しました。CaliforniaのPerformance Testは3時間から90分に変更されてから蓄積が少ないためか、教材は限定的で選択肢がありませんでした。10問収録されています。Essay版と同様に細かい採点表がついており、自己採点が可能です。Performance testはEssay以上に点数の振られ方が分からなかったので、一応は参考になりました。
ペーパーバック版を購入しましたが、本試験はリモート開催でしたので、かなり勝手が違いました。紙の方が進めやすいですので、ノートPC上でこなせるように過去問をPDFで解くなど、練習しておく必要があります。模範答案はEssay版と同様に素晴らしすぎて真似できない出来なので、参考にはしにくかったです。とはいえ、過去問のSample Answersも惚れ惚れする答案で再現不可なので、実際のところ程よいものがないです。
■PT/MPT過去問
出題形式に慣れるために数年分を解いてみました。カリフォルニア州のPerformance testだけでは数が少ないので、MPTもいくつか参考にしてみました。Selected Answersはやはり圧倒的で、自分の実力不足を痛感させられましたが、リモート受験対策にはよかったと思います。
PTとMPTが大きく異ならない仕様になっていますので、MPT向けのテキストで学習するのがよいのかも知れません。
次回はサイパンで受けたMRPE(Multistate Professional Responsibility Examination:法曹倫理)についてお話したいと思います。タクシーが来なかったり、ロッカーがあいてなかったり、いろいろ大変でしたが、観光もできてこれはこれですっごく楽しかったです♪
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。