カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。 前回は 試験直前に出願を取り消すし返金もしないぞ~!という衝撃なメールが届いた お話をしましたが、今回はこうしておけばもっと楽に試験に臨めたのに、と思った点を振り返りながらご紹介します。
もくじ
米国司法試験を受けるなら早期対策要!MBEのTIPS化
MBEのTIPS集はもっと早い段階から作成しておくべきでした。
日本語でポイントだけを読むのであれば、1科目30分もかからずに復習できます。あと、英語の厚い問題集を開くのは気が重かったりします。試験本番が迫る中、せこせことTIPS集の作成作業をするのではなく、演習初期からテキストにマーカーを引く感覚でExcelにポイントを書き込んでまとめておけば、復習の時間をずっと短縮することができたはずです。
なお、当該TIPS集はこの連載の中で共有できるように編集中です。今しばらくお待ちください。
⇒ 編集が完了したので公開しました!「MBE対策日本語まとめTips集:ドナルドノート」
—-‐2022年02月14日追記—–
時間勝負のEssay!全文答案作成の訓練も重要
Essayの全文答案をもっと書いておくべきでした。
Essayの演習は答案構成までに留めて問題数を稼いでいたのですが、時間勝負となることが明らかな科目はしっかりと書いて練習しておくべきでした。今回の試験ではEvidenceがまさに時間勝負でして、散々な結果になりました。他にもTortなども時間が足りなくなる典型科目です。設問自体が難しいというわけではなく、時間があれば点数を取れる科目ですので、少なくともそういった科目はフル書きで練習しておくべきでした。
どれを使うかで合否がわかれる?!Essay用Outline
Essay対策の暗記教材選びにも迷走しました…。
青本のOutlineをベースにQuizletでオンライン単語帳を作ったものの、何かしっくりこずに離脱。その後、その単語帳をコンパクトに編集したものを使うも、やはりイマイチで途中で断念。Web上で評判を見ながら、SmartBarPrepに落ち着いたのが10月でした。試行錯誤の末の選択なので仕方ないところではありますが、もっと早くにSmartBarPrepに絞れていれば、余裕のある受験勉強ライフになったはずでした。
どれを選ぶかでその後の学習に大きく影響しますので、早めに選択作業に入るのが良いでしょう。
日本から受験するなら!リモート試験用 「Examplify」
試験用ソフト「Examplify」にもっと慣れておくべきでした。
ソフトのダウンロード&インストール後に何問かの模擬試験 (Mock Exam) を提出することが義務付けられているのですが、提出さえすれば済むので、あまり真剣に取り組んでいませんでした。しかしながら、Performance Testでの使い勝手の悪さはもう少し理解しておくべきで、しっかりと本番を想定して試しながら使い慣れておくべきでした。試験の最中に回答欄のコピペが出来なくなったのはソフト側の問題だと思いますが、いずれにせよ使い込みが足りておらず、少し不安な気持ちになりました。
Rule Against Perpetuities (RAP)は… 出題されたら即座にB!
Real Property(不動産法)の「The Rule Against Perpetuities (RAP)」の勉強時間は不要だったかも知れません。
RAPは「不動産関連の権利は、設定時に生存する基準者(life in being)の死後21年以内に確定するように設定されなければNG」と50文字程度で簡単にまとめられるルールで、基本的にMBEでしか出題されませんが、いざ出題されると異常な難しさを発揮します。MBEで1問に割ける時間である108秒で解答することは困難で、時間をかけた挙句に不正解となることも多いという受験生の大敵です。詳しく説明されているサイトやYouTubeなどで勉強し、自分なりに図表化するなどして、その場では理解したつもりになるのですが、なかなか身につかないという…。
もっとも、出題されるとしても200問中1問程度に過ぎないので、そのために多くの時間をかけて勉強すべきだったのか大いに疑問です。結局今回の試験では1問も出題されませんでしたし…。勉強なしで臨んで、もし出題されたら迷わず「B」を選択して早々に次の設問に進む、とするのも手かと。省けた時間を他の設問や見直しに充てることで、全体としての正答率は向上するように思います。
効率的に勉強するコツ!テキストの電子化をして
試験後に紙媒体のテキストを自炊してPDF化しました。不合格だった場合に向けて勉強するためのもので、結局あまり使うことはありませんでしたが、分厚いテキストを開くストレスから解放されて快適でした。電子化することでスマホでもタブレットでも勉強できる点は大きなメリットです。ハイライト箇所の検索も可能ですし、効率的に学習が進められます。少なくとも記述式試験は引き続きPC受験OKでしょうし、MBEもPCで実施することが予想されますので、全ての情報をPC内に閉じておくことは効率的です。最初からKindle版があるものはそちらを購入するのがベターです。
(参考:BarBriや日本人ノート…。米国弁護士試験おすすめテキストは?)
BarBri(受験予備校)の受講料金は…
米国司法試験の最大手予備校であるBarBri。試験科目やMBE/Essay PT対策の講義を動画で配信するとともに、問題集と採点などを提供しています。日本ではLEC東京リーガルマインドが提携しているようです。
短期コースが1,999~3,999ドル、長期コースが5,999~6,299ドル。提供されるサービス内容・教材の違いによって料金が異なります。
現地の受験生の多くが受講しているため、強迫観念に駆られるかも知れませんが、カリフォルニア州に関しては不要と言えるでしょう。以前に紹介させていただいたテキスト類で合格には必要十分で、全て揃えても10万円程度で済みますし、ネイティブ向けの長時間の英語レクチャを視聴するのは非効率的に思えます。そもそもレクチャなしでも内容自体は青本で理解でき、課題は英語の読み書きという方が多いはず。BarBriで必要なテキスト(Performance Testの問題集とか)があれば、eBay等で入手すれば十分です。
Abitusは既にコース廃止
かつて「国際資格の専門校アビタス Abitus」が米国弁護士コースを開講していましたが、既に廃止されています。
BarBriの和訳テキストなどを用いたユニークな取り組みだったと思いますが、いかんせんマーケットが小さすぎます。さらには、他の優良なテキストも出回っていますので、価格競争力の面でも厳しかったのではないかと。日本語のテキストでインプットを行うことは、米国法の理解という点では効率的ではありますが、多くの日本人受験生は英語力の強化も並行して行っていく必要があるので、トータルの受験対策でみたときに効率的なのかどうなのか。興味・関心のあること(ここでは米国法)を英語で真剣に学ぶのが、英語力を高める近道のようにも思えます。
いずれにせよコースは現存せず、中古テキストがオークションやフリマサイトに出品されているのみとなります。
次回は実際の受験日の様子をご紹介します。まずは不合格だった現地での受験から。。。
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。