カリフォルニア州司法試験にマジで受かっちゃったドナルド先生による【連載】米国弁護士試験のホントのトコロ。 前回はカリフォルニアの現地で実際に受験したときの様子をお話しましたが、今回は日本からオンラインで受けた試験の様子について!
2020年まさかのコロナ!渡米できないと試験はどうなる?!
衝撃の新型コロナウイルスがいっきに世界中で大流行した2020年。私の当初計画では2020年7月に受験するつもりでしたが、コロナ禍でいろいろと予定が狂って思うように準備が進みませんでした。学習用に会員制ワークスペースを借りていましたが、クラスターを危惧して解約したことなどから、少し試験勉強のリズムが崩れました。また、世界中で感染が拡大する中、普通に渡米して受験することが可能なのか、という不安も集中を妨げました。その頃までには、海外渡航者の2週間隔離の話がでており、ちょっと厳しいなぁという感じで…。
受験申込期間が始まると改めて悩みました。特に、7月から10月に実施が延期されたこともあり、遅れていた学習も追いつけそうな気もするし、リモート受験の導入によって2週間の隔離も関係がなくなったし、と考えもしましたが、結局7月期(実際には10月)の受験は見送ることにしました。
◆朗報!2020年10月からリモート方式の試験が導入された!
そんななか、2020年10月の試験からリモートでの受験が導入され、米国内だけでなく海外からも受験可能になりました!これは大きな変更でした。日本からですと時差の関係で25時頃に試験が開始される感じです。
リモート受験については「カリフォルニア司法試験に独学で黙々と挑戦する会」の「(追記)日本からカリフォルニア州司法試験をオンライン受験するための勉強計画・方法」に詳しく記載されていますのでご参照ください。実際には「オンライン受験」というよりも「リモート受験」という感じです。NW接続が必要なのは受験開始までで、受験中はインターネット接続が切れます。受験後に回答ファイルをアップロードする際に再度NW接続が必要となります。
ただ、2020年10月はリモート試験が初回ということもあり、様子見したい気持ちが勝りました。記述式試験で問題冊子が手元にない状態で回答するのはなかなか困難に思えたからです。特にPerformance Testは、複数の資料から成る20ページ程度の試験で、各資料を比較しながら解いていくのが効率的でしたが、PC上でその作業が再現できるのか分からず、NGであれば新しいやり方を見つけなければなりません。そんなこともあり、10月の受験は見送りました。
リモート受験導入後の米国司法試験の日程はどうなった?!
リモート形式でも、1日目が記述式で2日目がMBEという2日間の日程であることは変わりませんが、時間割が若干異なっています。
以前は3時間もしくは3時間半ぶっ通しだったところ、1時間(Essay1問)もしくは90分(Performance Test、MBE50問)に区切られています。この変更は時間に追われる中、容易な問題で時間を稼いで、難しい問題に時間を割り当てて融通したい日本人受験生にとっては、若干ですが不利な変更に感じました(まぁ英語の集中力が長続きしない私には、1時間とか90分区切りの方が良かったのかも知れませんが)。
◆最大のメリットは渡米の準備や費用が軽くなったコト
とはいえ、現地で受験することに比べると非常に快適です。
渡米するとなると、1週間程度は仕事を休む必要がありますし、渡航費用・滞在費用・お土産代(汗)がかかります。長距離移動や慣れない環境による疲れも大きく、時差ぼけの解消に失敗したりもします。不自然に会社を休むので、いろいろと勘繰られたりします(苦笑)。
でもリモート受験なら圧倒的な低予算で済ませることができ、かつ、有給休暇の取得も最小限に抑えることができます。試験が終わるのが昼頃なので、1日目は全休、2日目は午前半休をとるだけで乗り切ることができます。日程上は1日目の午後もお仕事可能ですが、さすがに休みたいです。できれば2日目の午後も…。
Wordライクな試験用ソフトの使い勝手。カメラ監視で不正フラグが?!
リモート受験はノートPCで行います。デスクトップPCはNGです。
現地で受験するのと同様に、試験用ソフトウェア「Examplify」を事前にインストールしておきます。リモートゆえ試験問題冊子を配布することができないため、予め問題ファイルもダウンロードして試験に備えます。ただし、問題ファイルはパスワードがないと開けないため、先に問題に目を通したり、勝手に試験を開始することはできません。試験開始時間になるとパスワードが専用HPにアップされるので、それを入力して試験を開始します。HPがダウンした場合に備えて、メールでも届くようになっていますので、パスワードで困ることはなさそうです。
試験用ソフトは従来と同様にWordライクな使い勝手であり、基本的に不便はありません。テキストのコピー&ペーストやフォント調整、マーカー機能によるハイライト付与が可能で、スペルミスには下線が付いて教えてくれます。「§」などの特殊記号は別パレットで入力できます。回答欄以外にメモ欄(電子スクラッチペーパー)があるので、気づいたことをメモしておくことが可能です。
◆試験の様子がWEBカメラで録画録音されている
リモート受験版が異なるのは、受験中にノートPCのWEBカメラによって受験生の様子が録画録音されている点です。(注意:カメラついてないPCでは受験ができません!)このMovieファイルは回答ファイルと同様にサーバにアップロードされ、AIによってその挙動等から不正行為を行っていないか判定されます。事前にMock Exam(ソフトになれるための練習問題みたいなやつ)で写真付きIDを登録しておくんです。
なお、私はあまりの試験の出来の悪さ&問題の難しさに、録画されていることを忘れて頭を抱えたり、ムンクの叫びのようなポーズをしたりしましたが、その程度では不正フラグは立ちませんでした。
というわけで、次回は日本でオンライン受験する場合と、現地で受ける場合の違いをお話したいと思います。お楽しみに~!
【連載】米国弁護士試験のホントのトコロは随時、質問などもわかる範囲でおこたえしていこうと思いますので、お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
text ドナルド先生 2021年米国(カリフォルニア州)司法試験合格。世界中のディズニー制覇をもくろむアラフォー。