あれは中学の時だったでしょうか…。熱を出して学校を休んだある日、あの長い映画『風と共に去りぬ』をまる一日かけて一気に見たことがあります。
風と共に去りぬ [DVD]
でも、原作の小説って読んだことはありませんでした。今回、林真理子先生が翻訳した本を読んでみたら、主人公のスカーレット・オハラのイメージがぜんぜん違っててびっくり。めちゃめちゃかわいい人!ちょっと私はいろいろ勘違いしたみたいです。
もくじ
不器用だけど一生懸命!スカーレット・オハラがかわいすぎる
この本はスカーレットの一人称で描かれているところが特徴です
上流階級である農園オーナーの娘で若く美しい貴婦人であるスカーレットを林先生は“「このあたりいちばんの美人」ということになっている”と書いているところに、いきなり笑っちゃいました。映画版でスカーレットを演じていたヴィヴィアン・リーさんのクールビューティなイメージだったので、いきなりガラっと印象が変わった感じ。それもそのはず、スカーレットの設定、まだ10代なんですよ。
ちやほやさてうぬぼれる年ごろだし、パーティーに明け暮れる生活で思慮が深まる余地もなく…。スカーレットは青春を謳歌する普通のティーンエージャーだったのです。性格がいいとか悪いとか、いろんな議論がされている作品ですが、この林先生の翻訳のなかで生きるスカーレットはマジでかわいい!
もちろん、初めて映画を見た中学時代の私から見ればスカーレットは年上のお姉さんだったという面もあると思います。でも今、30代になってから本のなかで出会ったスカーレットは、自分に正直に生きる、ちょっと不器用でやんちゃな年下のかわいい女の子でした。
未亡人なのにパーティーにでかける非常識さとか、重傷を負った敗戦兵や浮浪者、娼婦といった自分より弱い者への態度とか、とにかくあらゆる悪いエピソードも、「このあたりいちばんの美人」=ちょっと生意気な10代の女の子の所業だとすれば、普通に共感できちゃいました。喪服を着続ける田舎の生活なんて、そりゃ耐えられないよねぇ。むしろ、10代で子どもいるのに旦那と死別とか幼なじみや身近な人たちが次々命を落としたりするとか、時代背景マジしんどくないですか。スカーレットの身に起こる波乱万丈の根源は、彼女の性格に起因しているのではなく、ほとんど「戦争」によって引き起こされた悲劇なんですよね。
もっと平和な時代だったら、スカーレットはもっと純粋に恋を楽しむ女の子になれたんじゃないのかなと思っちゃいました。
本当にいい男はアシュリーではなくレット・バトラーの方
そんなスカーレットに物語の序盤からちょっかいを出してくるのがレット・バトラーさん。映画ではクラーク・ゲーブルさんが演じていて、顔が濃いからという理由だけで、なんか苦手な人だなぁと思っていたのですが、本を読んだら、レット・バトラーさんめっちゃかっこいい。困った時にスーパーマンみたいにいつも駆けつけてくれる…!ジェントルマンでオシャレ。おまけに人の心がわかる優しい心まで持ち合わせていて、ビジネス面でもデキル男として大成功。いったい何が不満なのだよ、スカーレット!とツッコミどころ満載でした。
一方、スカーレットが恋焦がれてやまなかったアシュリーは、映画のレスリー・ハワードさんがイケメンだったということを勘案せずに本だけ読み進めていると、イマイチどこがいいのかよくわかんないんですよね(;’∀’)文化的な教養の高さをスカーレットは理解できないっぽいし、「アシュリー、アシュリー」と魅かれているのって、ないものねだりじゃないけれど、手に入らない人だから無性に気になる!みたいな側面が強そうに思えます。それと顔がタイプなのかなとも思っちゃいました。
似たもの同士より、タイプが違う人同士の方が、自分にかけているところを補い合えるからいいなとも思うのですが、スカーレットとアシュリーさんは、補い合える関係とも違いそうな感じがするんですよね。むしろ、ぶつかりまくるレット・バトラーさんとのほうが、反面教師でお互い高め合えそうな気がします。破局へ向かっていくとは言え、 レット・バトラーさんがうざいくらいスカーレットを気にかけてあげてるところが何とも愛おしいです♡
実は計算高い?!メラニーはあんまり好きになれなかった
そして心優しく純真で健気な女性・メラニーもまた映画と本で見え方が違います。アシュリーと結婚し、愛されるダサい女・メラニーはスカーレットに嫉妬されまくりなのですが、そうとは知らずスカーレットを信じ、慕い…というあたりが、どうも計算のように思えて仕方ありませんでした。
問題児扱いばかりされるスカーレットに対して、メラニーは正統派な優等生。でもそんなスカーレットを、結果的に自分の思うままに動かしているところが、メラニーのすごいところ。実はアシュリーからの手紙をこっそりスカーレットが盗み見していることを知っている風な様子をうかがえる場面があったりして…。
周りにいる人を優しさで包み込むようなスゴイ人ではあるけれど、腹を割った話ができない女性とは、私は個人的にあんまり友達にはなりたくないなと思ってしまいました(笑)なんか自分の運とか幸せが吸い取られちゃいそう…。
やっぱ友達って、少しくらいやんちゃに付き合ってくれたり、ウソがない人のほうがいいですよね。
『私はスカーレット』って何巻まであるのかしら…
長い長いお話の『風と共に去りぬ』ですが、林真理子先生が訳している『私はスカーレット』は、2021年04月06日に4巻まで発売されています。5巻は秋ごろの販売が予想されているそうですが、いったい何巻まであるのかなぁ。大好きな作品だから終わらないで続いてほしいという気持ちもありつつ、スカーレットが年を重ねて「やっぱりレットが好き!」とようやく自分の本当の気持ちに気がついたときには、レットさんが去って行ってしまいました~という、あの切なすぎるラストがどのように描かれるのか、今から楽しみでなりません。
今回は私がパサディナで撮影した写真と共にご紹介しました!
今回ご紹介した本は、林真理子先生の<私はスカーレット>です。
胸に刺さる永遠の名作『風と共に去りぬ』が林先生ならではの現代風なアレンジで色鮮やかに蘇ります。いつか読もうと思っているなら、この本を今読むべきでしょ♪
ほかにも<本を読まなきゃ / BOOK>では、私が「また読みたいな!」って思うお気に入りの一冊をご紹介しています。ビジネス書から小説、脚本まで幅広く様々なジャンルをピックアップ。ぜひチェックしてみてね。