おうち時間におもしろい読書を!今回は「ゆるキャラ」や「マイブーム」の名付け親としても知られるみうらじゅんさんの『「ない仕事」の作り方 (文春文庫)』をご紹介します。働き盛りのすべての大人に届けたいビジネス本っぽくないビジネス本です。
ひたすら自分に正直に生きる!覚悟と情熱があふれまくってる
この本を要約すると、みうらじゅんさんの職業「イラストレーターなど」の「など」の部分がとても詳しく書かれています。
ちなみに私は、この本を読むまで、みうらじゅんさんのことを糸井重里さんみたいなコピーライター的な広告業の分野の人なのかと思っていました。読む前からとんだ勘違いをして本を手にしたわけですが、そんな「みんなの勘違い」こそがブームを作るコツ。何をしているのか不思議なオーラやあの謎めくロングヘアーにサングラスというルックスも、仕事を得るためのコツだったなんて。この本を読んでびっくりしたことばいっぱい(笑)
私がソファにふんぞり返って、葉巻をくゆらせながら「今、とんまつりが面白いんだが、どうかね?」などと、偉そうに言っても、誰も「それ、うちで特集しましょう」と、同意してくれないでしょう。
引用:「ない仕事」の作り方 (文春文庫)より
出版社の編集者に自分の企画を売り込む手法とか接待の重要性などが事細かく書かれていて、全部独自の理由で裏付けられていて、すごく新しいビジネス書という感じです。
普通だったら、ちょっと隠したくなるような本音や失敗談などが、ズバズバ全部書かれています。読み進めながら、みうらじゅんさんってすごく自分に正直な人なんだなと思って大好きになってしまいました。
私は、フリーランスになるか、また就職するかどうかで悩んだ時期があったのですが、前職の会社はゆるやかな社風だったけれど、電子部品を売り込むという仕事に夢も希望も見いだせていなかったことも、読みながら実感させられました。優良企業ではあったけれど、業務内容は全く自分にはあっていなかった。でも、会社に勤めていると社会的な信用度は高くていいですよね。「○○の~」の肩書に日本人は弱いですから。
私はどういう道を歩いていけばいいんだろう?その答えは本のなかにたくさん書いてありました。
人生なんてどうなるかなんてわかりませんが、ひとつはっきりしていることは、他人と同じことをしていては駄目だということです。なぜかというと、つまらないからです。皆と同じ職業を目指し、同じ地位を目指すのは、競争率も高いし、しんどいじゃないですか。
引用:「ない仕事」の作り方 (文春文庫)より
みうらじゅんさんの生き方が楽しそうに見えるワケ、それは根本の考えに、極端なまでの自分の気持ちへの正直さがあるからなんだなぁと思わされました。
サラリーマンにもビジネス本として真面目におすすめしたいワケ
昨今の新型コロナウイルスの影響で、経済への被害は甚大です。でも経済よりも、命。まずは、じっとしていることが世のためであり、教養と思いやりなのであります。
最善の策がなんだったのか?この戦いの先にあるものは?原因は?犯人は?どうして…?
目の前に渦巻くあらゆる疑問の、答えがわかるのは、今ではなく、歴史のずっと先のことかもしれません。でも、私たちは、今を生き続けねばなりません。
人には限界があります。あらゆる才能が備わっていれば、一人で何でもできますが、実際にはそうはいきません。
引用:「ない仕事」の作り方 (文春文庫)より
一見、一匹オオカミに見える人ほど、自分にできないことをやってくれる人、不得意な分野を埋めてくれる人と上手に付き合っていて、さまざまな波を乗り越えていかれているものです。
私は会社員をやめてフリーになってから、「人間関係のしがらみがなくって気楽そうでいいな」とか「オフィスワーカーよりフレキシブルで時間あるでしょ」などとすごい決めつけでモノを言われる事態も多々あり、「マジでうるせーよ!」とぶち切れなければならない場面も多いのですが、実際就活中の大学生からも羨望のまなざしを向けられたりするんで、世の中よくわかりません。
フリーランスだって、会社員だって、なんなら経営者だって、個人事業主だって、みんな一人では生きていけないんですよね。ビジネスとなれば、なおさらです。人との付き合いや折衝・コミュニケーション能力は、個人になった瞬間、会社員以上に高いスキルが必要な場面も増えます。
本を読んでいてみうらさんは、人との距離のとり方とかバランス感覚のセンスが最高に優れた人だなということも感じました。
最近はタバコを吸う人も減りましたが、もしあなたの上司がヘビースモーカーだった場合、かなり有効な奥義があります。それは、上司のタバコがなくなりかけているなと思ったら、トイレに立つふりをしてタバコを買ってきて、上司の前にスッと置くのです。しかも2箱重ねて。これでもうその上司はあなたにメロメロになり、かわいがってもらえるでしょう。
引用:「ない仕事」の作り方 (文春文庫)より
人と違うことをして生きていく。変な人だと思われたりする覚悟も必要ですが、社会人として通用する人になる、まずこのファーストステップをきちんと超えていくことが何よりも大事だなと思わされるエピソードでした。
ゴマすりをするとか、要領がいいとか、タバコを買いに行く行動力の問題ではなく、今、何が必要とされているのか?を見極める力。私はこの本をフリーになってから読んだのですが、サラリーマンの人にもためになるおもしろエピソードが詰め込まれていました。
全世界が外出自粛で小休止している今、時間がいつもより余っているよ~という人は、ぜひ手にとって見てください。みうらさんならではの思わぬ切り口から、「本当の自分」や「自分でも知らなかった自身の持ち味」を見つけるきっかけになるかもしれませんよ。
わかっているようで、一番自分のことってわかっていなかったりしますしね!
▼この本もおすすめ
「迷路の外には何がある?」は、アメリカのスペンサー・ジョンソン博士による「チーズはどこへ消えた?(Who Moved My Cheese?)」のその後のストーリーです。本を渡された瞬間、「チーズの本、学生の時に読んだなぁ」となつかしさがあふれてきました。
(チーズはどこへ消えた?感想文:変化のある時代を楽しんで生きよう!)
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