出来れば、旅行とか美味しかったランチの話とか、あまり難しいこと考えないで楽しめるような話題の記事をたくさん提供したいところではあるのですが、私のこのサイト、モバイル関連の記事が相変わらず人気です。格安スマホのメリット・デメリットとか5Gの未来の話とか。ロサンゼルスは街中でSIM買うと、3週間で34ドルっていう記事を読んで、「安っ!」って思っている人も多かったと思います。それもこれも専門誌でカッチリしたオジサン向けの内容よりもかみ砕いているせいでしょうか。自分でも謎めく解析状況を眺めながら、ぼんやりいろいろ考えていたところなんですけれども、このたび、日本の官房長官が「日本ってスマホ代高くね?!値下げしてよ」という、かなり根拠薄めなヤバめ発言をしているので、私なりに思っていることを誰にも頼まれていないけれど勝手に書き留めておきたいと思います。
もくじ
ドコモ・au・ソフバン。日本のスマホ料金どう思う?
菅官房長官
携帯料金「4割安く」 大手3社を批判
引用:毎日新聞2018年8月22日 東京朝刊見出しより
「だって、私は高いと思うんだよーん」っていう個人的な意見ではなく、官房長官が発言したということは、これ、日本の政府の意見ということになります。「おいおい、大丈夫か、日本」と本気で思ったのは私だけでしょうか。おろおろ心配していたら、ダイヤモンドオンラインで本日、鈴木さんという方がごもっともな寄稿をされていて、ふむふむと興味深く読ませていただきました。
携帯料金の4割引き下げは日本経済にメリットがなさそうな理由
引用:ダイヤモンドオンライン 今週もナナメに考えた 鈴木貴博より
私なんぞがエラソーに言うのも自分が一番どうかと思っていますが、概ねの方向は全く彼に同意見です。日本経済がこれから未来へ輝きを見出すとすれば、ネット環境をよくすることが、きっと近道だと信じている方。ほかにもいい方法ある!って思いついている人は、すでにビジネスを始めているように、2020年の次世代は高速通信だけでなく、あらゆる分野で世界が変わっていくとみられています。
正直、官房長官の発言はそういうの踏まえて言っているのかどうか、ちょっと不安になるものを感じざるを得ません。
海外のスマホ料金が安い理由
冒頭でも述べたように、ロスでSIMを買うと高速通信のネットやら通話やらついて、3週間34ドル。たぶん探せばもっと安いのもあると思います。ドイツにいたときに私が使っていたのはプリペイド式のSIMカード。まとめて最初に支払っておいて、使い切ったらまた買い足すタイプ。中国は広い国土のなかで使えるSIM(当然費用は高い)とある程度都市部の使用に限定しているSIM(格安)と両方ありました。いずれも、値段は日本の大手キャリア3社より確かに安いです。2018年時点。単純に価格だけ比べればね。そして先進国のなかでも、通信費用が安いとよく紹介されている英国に至っては、ロンドン中、ほとんどの道端でFree Wifiがあるので、個人がスマホの通信を消費する機会自体が東京と比べて圧倒的に少ないと言えます。昔、シャーロックホームズのミュージアムへ行った時、ベイカーストリートでサクサクとネットにアクセスできることにちょうビックリしました。今でこそ、新宿伊勢丹前くらいは新宿区のFree Wifiがあるけれど、隣の港区は多くの地域でそんなサービスしてないし。成田空港でさえ、Free Wifiの速度のとろいことに驚かされますよ。観光で日本にWifi持たずにやってきた海外からのお客さんたちはさぞかし不便な思いをしているだろうなといつも思うのです。
でも、携帯自体のサービスはどうかというと、日本は圧倒的に優れています。海外は泣きたくなるほどひどい国がほとんど。大人だから、みんな泣かないだけで。ググってみる最中、ネットがブチブチ切れて、何度イライラさせられたことか。ちょっと中心地から離れると繋がらなくなるなんてザラです。ネット環境は高速通信でどこにいてもサクサク動く国は、そんなに多くないことに気が付くはず。日本はニューヨーク並みに携帯代が高いというけれど、モバイルの通信環境がこんなにいいのって、逆にいうと世界中で日本とニューヨークくらいな気もします。
ただ日本の料金が高い高いと言われる背景には、SIMロックを外さないという時代遅れな施策をけっこう最近までやっていたという問題が絡んでいます。2013年くらいから、お金払えば、SIMを解除してくれるようになったんだから、利用者が単純にSIMを選べば済む話なのではないかなというのが私の意見。
少なくとも2014年くらいから、日本でもSIMフリーや大手キャリアのサブ回線を使った格安SIMが出ているので、携帯費用をとにかく安く抑えたいと思っている人は、今すぐ格安SIMに乗り換えをすればいいだけだと思います。ただ格安SIMは料金が安い一方で、サービスが悪くて耐えられなくなる人も一定数いると思うし、私もそのひとり。楽天のSIMは信じられない速度のとろさ。通信障害が起きてても発表すらしない雑な体質。乗り換えようと思ったらMNPの予約番号を発行するのに、丸1日以上かかる。ほかにもいろいろあるんですけれど、大手3社に比べれば、安い分、サービスは悪化します。しかし、費用は海外のスマホ料金にかなり近づくわけです。
大手キャリアの手厚いサービスに助けられている分、そこのサービスにお金を支払っているわけですから、日本の通信費用はズバ抜けて高額というわけではないと思います。
一番困るのは料金プランのわかりにくさ
正直、サービスに対して費用は高くはないけれど、料金プランの不透明感はすごい感じています。海外のスマホや格安SIMに比べると「結局毎月いくらなの?」という一番大事な部分は、ショップに行ってもよくわからないし、店員も誤案内甚だしくって、プランを複雑にしすぎて、自分たちもよくわかんなくなっちゃっているんではなかろうかと疑いたくなるようなケースも散見されます。
キャンペーンの内容も、正規ショップと家電量販店で微妙に差があることがあります。一番多いのは、端末費用が0円なのか、毎月の分割なのかというあたりと、○○割が永久に続くのか、最初の数年だけなのか、というあたりに絞られるわけですが、ここがけっこう大きいのです。
例えば端末料金。持ち帰り時点で0円というのが、本体0円なのか、毎月の分割になっているのかをよく確認する必要がります。分割の場合は、通信費用に上乗せになって請求されることになるので、毎月の費用が高く感じるかもしれません。
そして○○割。最初の一年だけ、毎月の支払から1500円割引になります。というキャンペーンで、月額費用の見積もりを出される場合があるんで注意が必要です。多くの場合は、2年縛りの契約(このあたりも近い将来見直しになるようですが)、1年が過ぎたあたりから、はじめに聞いていた見積もりよりも高くなっていることがあります。毎月カードで引き落としになっていたりすると見落としがちなので、チェックしてみたほうがいいですよ。
料金プランの比較方法
ではここから、数字を見ていると熱が出そうな女子のために、携帯のキャリアを選ぶときや乗り換えをするときに、おすすめな比較方法をご紹介します。今更ですが数字に強い理系のみなさまには全く不必要な方法ですので、すっとばしてくださいね。
○店員さんに見積もりを作ってもらう
一番おすすめなのは、この方法です。契約をしようとしている、携帯ショップでもビックカメラの店員さんでもいいので、いくつか気になるお店を周るときに、必ず2年分の総額見積もりを作ってもらうようにしましょう。この時、だいたい自分が毎月どのくらいのデータを使うかの目安を決めておくといいと思います。
(1)購入当日に支払う費用(手数料や事務経費等。端末料金が発生する場合はそれも書いてもらう)
(2)毎月5GB使うことを想定して、月額費用を2年分書いてもらう。(ここは3GBでも10GBでも自分で使うデータ量で。必ず次の更新月までの分を書いてもらうようにしましょう。割引が入る場合も、それがいつまで適用なのかを整理することができます。)
(3)キャンペーンの商品券やポイントといったサービス内容がいくらなのかを書いてもらおう。(家電量販店だと、今なら○万円分の商品券とかが付くケースがよくあります)
ここまで情報を集められたら、(1)+(2)-(3)で、2年分の支払う予定費用がわかります。ここの金額をそれぞれのキャリアなり、ショップごとに比べると、いったい自分が向こう2年およそいくら支払うのかの総額がでるのでわかりやすいですよ。
そうすると、例えば同じauでも「auショップで買うより、ヨドバシのほうがいくら安い」みたいな比較がしやすくなります。正規店で買うと端末費用が0円(分割払いではない)ケースもたまにあるので、総額で大きな差がでることも。
大事なのは、店員さんに、(1)(2)(3)の費用を書いてもらうこと。手書きでもいいから。そして、契約の時に、間違えがないかを自分できちんとチェックすることです。言われていた割引はちゃんと適用されているのかどうか、ポイントはついているかどうかなど。私の経験上、悪気はないのでしょうけれど、契約書にサインしてから「やっぱりこの割引適用外でした」ってあとから言われたこともあります。店員さんマターで費用の確認をしておくことで、こういったトラブルもいい方向へ解決するケースがあるので、ミスのないようにダブルチェックしましょう。
自分にあった携帯の使い方を知って、SIMを選ぼう
全国どこに行っても4Gの高速通信がしっかり通っている国、日本。災害が多い中、いざという時のライフラインになるかもしれない携帯。繋がらなくなる恐れなんてあっては困るというのは、私が格安SIMを辞めた理由でもあります。でも大手キャリアの料金を高いと感じているならば、格安SIMも選択肢としてアリだと思います。
ただ官房長官のおっしゃるように、大手キャリアも4割値下げしました。その結果、サービスが4割落ちましたに万が一でもなったら、私はすごく困るんだけれどな。
5Gだって、世界に先駆けて東京オリンピックの2020年から利用開始になるんですよ。ワクワクする未来がすぐそこまで来ているのに、研究や開発費を削って、世界に後れをとったら、あまりいいことがないような気がします。そういう意味でも、ダイヤモンドで鈴木さんがおっしゃっていた「携帯料金の4割引き下げは日本経済にメリットがなさそう」に激しく同意なのでした。