2016年の『言ってはいけない 残酷すぎる真実 』を読んで、「あぁ、やっぱりそうだったのか」と、首がちぎれそうなくらい頷いた過去がある橘玲ファンです。
きれいごとだけじゃない現実、平等とは言い難い世の中…。美人とブスの「美貌格差」が約3600万円もあるとか言われて、おどろいた人も多かったのではないでしょうか。私も目玉が飛び出しそうになったブスのひとりです(笑)
あれから私は、すっかり橘先生のファンになり、Yahooなどのアカウントもフォローさせていただいて、いつも記事を興味深く読ませていただいているのですが、今回フォーカスするのは、昨年発売された『もっと言ってはいけない 』です。
「もっと」ですって。めちゃパワーアップしてるじゃないか!これは気になるでしょ。
実は、私、もう発売以降3回くらい読んでて。早くレビュー書きたいなぁと思いながら年が明けてしまいました。遅ればせながら、改めて再読書しながら私の個人的所感をご紹介したいと思います。
もくじ
日本語が読めない日本人
「人間社会のタブーがまた、明かされる!」って帯、大げさじゃない?って思った人~?大げさではないのですよ。
プロローグからいきなり衝撃の事実が突き付けられます。
①日本人のおよそ3分の1は日本語が読めない
②日本人の3分の1以上が小学校3~4年生の数的思考力しかない
③パソコンを使った基本的な仕事ができる日本人は1割以下しかいない。
④65歳以上の日本の労働人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。
引用:もっと言ってはいけない (新潮新書)橘玲著 プロローグ 日本語の読めない大人たちより
マジで?!とビビるデータ。日本人なのに日本語読めないってどういうことよ?って思いますが、そういうデータがあるのだから、反論できません。そうなんですよ。そうなんだって納得するしかないのであります。データがあるのだから。
この文字が毎回2000字以上並んでいる私のサイトを読みに来てくださっている読者さんは、日本語読むのが好き(得意?)な方が多いと思いますので、やっぱり同じような違和感を持たれるのではないでしょうか?皆さん、きっとちゃんとしていて、旅行が大好きな豊かな人でしょうし。そんな皆さんに、さらに橘先生はこう続けておられます。
「そんなバカなことがあるはずない」と思ったひともいるだろう。だがこれはOECDの依頼を受けた公的機関が実施した調査結果で、それを疑わしいと感じるのはあなたが知能が高いひとたちの集団のなかで生活しているからにすぎない。
引用:もっと言ってはいけない (新潮新書)橘玲著 プロローグ 日本語の読めない大人たちより
『65歳以上の日本の労働人口のうち、3人に1人がそもそもパソコンを使えない。』なんて、けっこうリアルな数字であるようにも感じます。スマホを使いこなせていても、PCに向き合った瞬間フリーズする人多いし、そういう人たちを相手に、定年を引き上げるというのもなんとも酷な世の中だなぁと感じます。
かといって、年金をまともに期待できない世代からすると、「マジでなんであの世代の仕事やらツケやら、全部こっちに回されんのよ」という気もするんですけどね。
そして「日本語読めない」とかいうのは、かなり深刻な事態で、これはある種、コミュニケーションの敗北としか言いようがありません。いちいち口頭でなんか言わなきゃいけないの?マジめんどくせぇ。でもそういう人、リアルにいますよねぇ。
私なんか、食事に誘われ、日時を決めるだけのメールが無駄に数週間に及ぶ事態に見舞われたことがあります。「すげー、暇な連中なんだなぁ」とイライラしながら、最終的にこちらからスルっとお断りしてしまったんですが、今になって思えば、「あの人は、メールの文章が、読めていなかったのではなかろうか。」という仮定が現実味を帯びてきてゾワっとしてしまいました。なぜか、かみ合わないやりとり…。「こっちがおかしいのかな?」って思うような事態に直面する相手とは距離を置くに限ります。その手の人とは、もう一生スケジュールがあわないことにして会うつもりはないため、今となっては古き良き思い出ですが。
生物学的な祖先をたどる論争
興味深かったのは3章の「人種と大陸系統」も。なんとなく、人種の呼称が混乱しているような気がするのは感じていましたが、時代を追って、とてもわかりやすく解説してくれています。なかでも興味深かったのはネアンデルタール人などの古代人のDNA解析。
私も先日、唾液による遺伝子検査の解析を出して、今ちょうど待っている最中ということもあり、大変興味深く読み進めてしまいました。「あれの結果はやく来ないかな」と今から楽しみ。
国別の知能指数で見えたデータは差別なのか?
よくニュースなどでも報道されている学力ランキング。あれはOKなのに、IQの数値を比較すると差別になるのか?という考察もおもしろかったです。ま、多少なりとも連動する部分はあると思うし、個人的には差別とは思わないのですが(;^_^A
各国別のIQ一覧がずらずらっと表になっているのを目の当たりにした時には、なんとも言えない複雑な気持ちになりました。これが学力ランキングだとしても、大学ランキングだとしても、日本はボチボチなポジション程度にしか期待できないと思っていましたが、世界は広い。上をみれば、切なさあふれる心境にもなりますが、「寒冷地への移住で知能は上がる」と言われると、「何となくそうだと思っていたよ…」って、また頷いてしまいました。
逆に言えば、南国へいくとリゾート感あふれすぎちゃって、難しいこと考えられなくなるじゃないですか。別に南国の人がバカだと言ってるわけではありませんので誤解なきよう。
それは差別とは思わないけれど、勤勉さとか宗教にまで絡めた考察は、今の世界情勢ともリンクしている部分なども多いように感じます。
「あの国の人たちは、どうしてそんな考え方するんだろう」と理解できないときに、この本はヒントをくれるかもしれません。
お金を払えば、いつでもおなかいっぱいごはんが食べられて、結婚式は教会でやったのに、お正月は神社へ行くという、フレキシブルすぎる宗教的立場の日本人には、海外のセンシティブな宗教感覚はわかりにくいケースが多いし。
ラーメンを食べていたら「イスラム教なのでチャーシュー抜いてください」と言いながら豚骨ラーメンを注文している人を目の当たりにしてしまった横で、硬直する私の気持なんか、向こうの人にどう伝えればいいのかしら。街中で顔を合わせるたびにハイタッチしてくるアメリカ人の友人と、すれ違った後の絶妙な気まずさも、日本人ならではの感覚なのかなと思っています。
自分はいったい何者なのか?という疑問
遺伝子行動学では、「外交的/内向的」のような性格の遺伝率はおよそ5割とされている。遺伝率が8割にちかい知能よりは低いものの内容性も親から遺伝するのだ。———ちなみに残りの半分は「子育て(共有環境)」ではなくやはり「友だち関係(非共有環境)」だ。
引用:もっと言ってはいけない (新潮新書)橘玲著 5章 「自己家畜化」という革命より
この性格的な問題は、遺伝がたったの50%というのも、ちょっとホッとしたデータでした。自分はいったいどんな人間なのか?を考えた時、自分にとっての一番身近な祖先である親が頭をよぎり、アインシュタインクラスの立派な人なら、「受け継ぎてぇ!」と願いますが、そうでない場合でも、自分でどうにかする余地がまだ半分もある。そして、その半分は自分の周りにいる人で決まるということです。ちゃんとした人と付き合い続けることの大切さを改めて実感しました。
人間、付き合っている友だちの質でおおかた決着している
友だちの人数は多くなくっていい。本当に困っている時に力になってくれたり、すぐにとんできてくれたり、サポートしてくれる友人はかけがえのない宝物です。親の死とか、自身の病気や事故など、本当に津波クラスに人生を揺るがす大事件が起きた時、そばにいて手を離さないでいてくれた人のことは、一生感謝してもしつくせないくらい。
一方で、さざ波程度で倒れる人もいるし、精神疾患の診断書をもらって、嬉しそうにするようなヤバい人もいます。本当に今年はああいうのが近寄ってこないように、寄せつけないオーラを鍛えて、全力で放ちながら、楽しい人生を作っていきたいと思いました。人生を豊かにするもの、それは充実した人間関係という考えはまちがえじゃなかった!
自分が輝ける場所で花を咲かせよう
“日本人の不幸は遺伝子的にストレスに弱いにもかかわらず、文化的に高ストレスの環境をつくってしまうことにある。そんなムラ社会の閉塞感のなかで、本来はランとして美しい花を咲かせるべき個人が次々と枯れていく。
引用:もっと言ってはいけない (新潮新書)橘玲著 6章「置かれた場所」で咲こう——ひ弱なランより
なんかおかしいな?っていう人たちは、なんかおかしい人たち同士でコミュニティを形成していたりします。
学校も、会社も、人数が多い場所には、それなりにいろんな人がいるでしょう。ちょっと違和感をある人たちだなって思ったら、別の場所へ移動するほうが無難です。世界は広いですから。場所を変えれば、自分にあった環境や仲間がきっと見つかるはず。
今の環境にちょっと生きづらさを感じている人はぜひ最後の章だけでも読んでみてください。「あぁ、私は“ひ弱なラン”なんだから、この環境では枯れる」と感じたら、すぐに移動する決心もつくかもしれません。
というわけで、今回も自分で撮影した世界中の情緒的な写真とともに拙い感想をご紹介しました!橘先生の本、どれもとっても面白いので、ぜひ読んでみてね。
▼人間関係に悩んでいるときにはこの本もおすすめ
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人生の変化を楽しんで素敵に生きていこう♪『迷路の外には何がある?』ほかにも<本を読まなきゃ / BOOK>では、私が「また読みたいな!」って思うお気に入りの一冊をご紹介しています。ビジネス書から小説、脚本まで幅広く様々なジャンルをピックアップ。ぜひチェックしてみてね。